コラム

当時のCMのキャッチコピーは「友達以上恋人未満」トヨタのサイノスコンバーチブルというクルマ

サイノスは1991年から1999年まで販売されていた小型2ドアクーペのコンバーチブルモデルです。元々はターセル、コルサのセダンをベースにしており北米ではセクレタリーカー及びサブコンパクトカーで勝負を挑んだ車であり、日本で販売されたのは北米で展開されてからの後でした。ちなみに海外ではパセオ(PASEO)という名前で販売されていました。

そもそもサイノスとは

上記にもある通り北米向けに作られたモデルではありますが、日本国内でも使いやすい仕様になっています。αという最高出力が105PSをもつ5E-FE型と、βという115PSの5E-FHE型の2種類がありDOHCエンジンが搭載されています。これはモデルチェンジがなされていても一貫されていたことですが、2代目からはαは1,300cc、βは1,500ccと先代では同じ1,500ccでしたがαの排気量が下げられています。特徴としてはαは4速MTと3速AT、βには5速MT、4速ATと当時としては珍しくトランスミッションが多く設定されていることでした。なおかつエアコン、パワーウィンドウ、パワステが装備されていながら新車価格が110万円から180万円ほどと非常に安いモデルでした。そのため男女問わず乗りやすく、当時のCMのキャッチコピーであった「友達以上恋人未満。」がまさにぴったりな表現だったと思います。
乗り心地としては一見出力だけ見ればパワーがあまりないのではないかと思われますが、如何せん車体が約900kgと軽くかなり軽快にビュンビュン走るという言葉が似合います。小回りが非常に効き、車体には十分なパワーで燃費もおよそ13㎞/Lと当時としては良い値でした。それが安物っぽいと感じるか否かは人によって分かれるところだと思いますが、身軽でコンパクトであり運転しやすいことは間違いないです。ただ高速道路を走るには弱さがあるので、頻繁にスピードを出すのであれば向かないかもしれません。シートポジションが低いのもスポーティな気分を盛り上げてくれる要素かと思われます。(しかし腰が弱い方にはさらに腰を悪くする恐れがあります…お気をつけください。)ささやかですがスポーツカ―気分を味わえるコンパクトなクーペといったところです。

コンバーチブルが展開されたのは2代目から

サイノスのモデルチェンジが行われたのは1995年で、1996年にコンバーチブル仕様が追加されました。そのためサイノス自体販売期間は短かったのですが、コンバーチブルバージョンというとさらにわずか約3年というかなり短い販売期間でした。そのため現在もう残されている台数もかなり少ないと思われます。
ボディーカラーもスーパーレッドⅡとブラックメタリックの2色のみの設定でしたが、実は特別仕様車なるものが存在しており1,300ccの3段ATモデルをスーパーブライトイエローで彩られ、内装もイエローを施したイエローバージョンなるものが150台限定で販売されておりかなり珍しい上に、このはっきりとした黄色は街中でも目立つ存在であることは間違いないです。しかし意外にも現在中古車市場で数少ない台数のなかこのイエローバージョンを割合的に多く見かけます。これは特別仕様車ということもありユーザーが大切に乗ってきて売れる状態まで大事にしてきたことの証なのか…と気になるところではあります。

オープン化の流れ


出典:ウィキメディア
サイノスクーペを開けたわけですが、手順としては1987年に販売開始されたセリカコンバーチブルと同じ手順が踏まれています。サイノスにクーペボディ骨格に追加補強を加えた上で、オープンボディー化のスペシャリストであるアメリカのASCに送り、クォーターピラーとルーフを切りオープンに改造しそれを日本にまた輸送し納車前検査を取ってから世に出ていくという形をとられました。なのでオープン化自体はトヨタは行っておらず、オープンであること以外は性能やデザインがクーペと変わりないと言っても過言ではありません。
構造としてはソフトトップで手動開閉式がとられています。現在ではわりと自動化されているということもあり、今手動式を見るとクラシックな感じでこれはこれで味があるように感じられます。

他車のオープンカーにはない特徴

サイノスコンバーチブルには他社のオープンモデルにはない特徴がありました。それは4MTがあったことです。それだけ?と思われるかもしれませんが、MTにこだわりをもつ方にはありがたいモデルだったと言えます。
エンジン自体は1,300ccか1,500ccで、直列4気筒DOHCが選ばれていました。1,300ccの方は変速機が4段MTか3段MTの2種があり4段MTは当時で既に珍しいものになっていました。(1,500ccは4段MTが採用されていました。)軽自動車でさえ5速MTの流れが進んでいるほどで、時代を逆行しているかのようで付属されていたタコメーターがさらに珍しさを増していました。トヨタとしてはコスト削減のためと、街中での利用を想定して製作したので無駄にシフトチェンジをせずに済むよう4でとどめたという理由がありました。そのためエクステリアはスポーティで車高も1,295mmと低めなのでとても速そうでバリバリの走りを見せてくれそうですが、案外そうではなく街中で気軽に使えるような仕様となっていました。そのため運転技術もそこまで求められず走りにそこまでこだわらないけど、かっこいい車が欲しいという方にもおすすめできる1台だったと言えます。シートもすごく広いというわけではないですが一般的なクーペの4人乗りであり、FFということもありトランクもそこそこの広さなので一般的な旅行でも申し分なくファミリー層でも十分使えるモデルです。
参考:オープンカー/カブリオレ/コンバーチブルの買取専門ページです

まとめ

当時若者だった方々には思い出が詰まってる青春を共にしたモデルだという人も多いのではないでしょうか。それこそ時期的な話だけではなく、このサイノスそのものがもつ魅力が彩ってくれたのではないかと思います。あまりにマイナー過ぎて現在中古車市場にも10台あるかないかほどだと思われる上、希少車でありながら名前が知られなさすぎるのか年式もありますが価格もかなり低いです。なのでサイノスコンバーチブルに興味があり、中古で安くてもいいからオープンカーに乗りたいという方にうってつけかもしれません。年式は20年以上とかなり高く、そもそもまだ残っているのかなんて声もあるくらいですが丈夫なトヨタということもあり状態が良いものであれば思いの外長く乗れる可能性もあります。新車から買って10万km 以上問題なく乗れましたという声も多いです。
それに加えて燃費的な面でも案外困らないという点もあります。社外パーツはもうかなり少なく他車種のパーツを加工したり、自分で作っていける面白さは年式が高い車ならではといったところです。(唯一スターレットのパーツは使えるものが多いようです)なんといっても希少な国産のオープンカー、海外モデルにはない良さと安心感があるのは間違いないです。オープンモデルというと今はなかなか若い人には手を出しづらい部分はありますが、逆にこのような少し懐かしさを感じられるようなオープンカーに乗ってると老若男女問わず会話のネタにもなり、もう台数が少なく希少車だと思うと愛着も沸いてくるでしょう。もちろん現在のモデルのような高性能なわけでもなく、安全性も今みたいなハイテクなものではないのが現実ではあります。しかしサイノスコンバーチブルは素朴な魅力があり、今の車にはない良さがあるので比べても仕方ない部分でしょう。当時でも魅力ありましたが、ある意味現在だからこそ当時とは違ったさらに楽しみが見出せる車かもしれません。

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ユーズトカーラボ 編集部
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