それでは今週もさっそく「おすすめSUVのおすすめグレード」に関する研究を進めてまいりましょう。今週のお題は、2000年8月の販売終了から19年が経った今なお一部で人気のシンプル系SUV、「日産ラシーン」です。
「ゆるいSUV」が欲しいならナイスな選択
いかついSUVや超現代的なSUVもそれはそれで素敵です。しかし「もうちょっとゆるいというか、クラシカルでシンプルな感じのSUVに乗りたいんですけど……」と思ったときは、実はラシーンこそが今なお最高に近いチョイスなのかもしれません。
まぁ古い車ですので「最高のチョイス」というのはちょっと言い過ぎでしょうが、ナイスな選択であることは間違いありません。
試作車が高評価となり1994年に発売
まずは日産ラシーンのモデル概略から振り返ってみましょう。
日産ラシーンは、もともとは1993年の東京モーターショーに参考出品された試作車。それがかなりの好評となったため、デザインの細部を変更したうえで1994年12月に市販版が発売されました。
ラシーンのベースはB13型系サニー(1990~1994年に販売された7代目日産サニー)の4WD版で、そこにクラシカルというのかシンプルというのか、とにかく角ばったニュアンスのSUV的ボディを載せ、グレードによっては背面にスペアタイヤを付けています。
本格クロカンに見えなくもないデザインですし、駆動方式は確かに4WDなのですが、ラシーンは決して「本格オフロード四駆」ではなく、「その雰囲気を楽しむ車」とでもいうべき存在でした。そのため、超本格的なまでの悪路走破性は持ち合わせていません。
搭載エンジンは最高出力105psの1.5L直4DOHCが基本ですが、1997年1月のマイナーチェンジで1.8Lの「ラシーンft」を追加。そして1998年4月には2Lエンジンを搭載する「ラシーン フォルザ」を追加しました。
同時期に白木調のインテリアパネルを採用した特別仕様車「タイプM」が登場したりもしたのですが、残念ながら2000年8月、日産ラシーンは販売終了となりました。
数多くあるグレードの特徴をサクッと解説!
ラシーンにはさまざまなグレードが存在し、そしてグレード名を見ただけではその内容がちょっとイメージできなかったりもするため、主なグレードとその装備内容を下記にざっとまとめてみましょう。
【前期型(1994~1996年)】
●TYPE I|いわゆるベースグレード。
●TYPE II|TYPE Iに背面スペアタイヤとルーフレールなどを追加。
●TYPE III|TYPE IIにフロントグリルガードと大型ガラスサンルーフなど。を追加。
●TYPE F|1995年8月発売の限定モデル。TYPE Iにルーフレールとウッド調メーターパネルを追加。
●TYPE L|1996年4月発売の限定モデル。TYPE Iにルーフレール背面タイヤ、ホワイトホイールカバーなどを追加。
●TYPE J|1996年9月発売の限定モデル。TYPE IにルーフレールABS、専用シート地、キーレスエントリーなどを追加。
【後期型(1997~2000年)】
●TYPE I|いわゆるベースグレード。
●TYPE II|TYPE Iに背面スペアタイヤキャリアとルーフレールを追加。
●TYPE S|フロントグリル中央部がグレーで、バックドアUVカット断熱グリーンガラスや本革巻きステアリングホイールなどを採用。
●ft TYPE II|1.8Lエンジン搭載。ルーフレールと背面スペアタイヤ、ホワイトメーターなどを装備
●ft TYPE S|1.8Lエンジン搭載。フロントグリル中央部がグレーで、バックドアUVカット断熱グリーンガラスや本革巻きステアリングホイール、15インチホイールなどを採用。
●TYPE A|1997年12月発売の限定モデル。後期TYPE IIをベースに、キーレスエントリーと専用シート地、UVカットガラスを追加。
●TYPE M|2000年5月発売の限定モデル。白木調ウッドパネルと本革巻きステアリングホイール等、カラードセンターキャップなどを装備。
●ラシーン フォルザ|2Lエンジン搭載。丸目4灯ヘッドライトとオーバーフェンダー、専用ラジエーターグリルと専用前後バンパーなどを装備。3ナンバーサイズ。
中古車を買うなら年式とグレードにこだわる必要なし?
そんなラシーンをこれから入手するとしたら、当然ながら新車はすでに売られていないため「中古車」を探すほかありません。
その際は何年式のどのグレードを選べば良いかというと……前章でひたすらグレード解説をしたのとちょっと矛盾してしまうのですが、年式グレードは何でもいいというか、こだわるべきではないと思います。
こだわるべきは年式やグレードではなく「整備履歴」です。
2000年に販売終了となった日産ラシーンですので、最終型でもすでに19年落ちであり、初期型に至っては約25年落ちです。そこまで古い年式の車においては、年式やグレード、あるいは走行距離などは「誤差の範囲」とすらいえるものになってきます。
最終型であっても、ノーケアだった個体は今やボロボロでしょうし、逆に前期型であっても、愛とお金をガンガン注入してメンテナンスあるいはリペアされてきた個体は、ノーケアだった最終型以上に光り輝いています。
そしてもちろん、納車前整備ではさまざまな機械部品を状況に応じて新品に交換する必要もあります。一例ですがスロットルチャンバーやラジエター、オルタネーター、エンジンスターター等々です。
こういった部品が交換されない格安中古車を買ったところで、結局は乗っているうちにそのあたりの部品が早晩寿命を迎え、結局はお金を払って交換するハメになるのは目に見えています。
経験豊富な専門店でリペア済み物件を狙いたい
そういった意味で、中古のラシーンを買うのであれば「価格の安さ」には目もくれず、そして年式やグレードにもさほどこだわらず、経験豊富な専門店で「ビシッとリペアされている個体を買う」というのが鉄則となるでしょう。
逆に言えばその鉄則を守る限り、ステキでおしゃれなラシーン生活は容易に始めることができると思います。このステキすぎるデザインと雰囲気が気になって仕方ない人は、ぜひ全国に点在しているラシーン専門店を訪問してみてください。
多少なりともご参考になったならば幸いです。それではまた来週!
[ライター/伊達軍曹]