コラム

SUVの魅力を知るために、物は試しとBMW X1に乗ってみたらある意味「人をダメにするクッション」だった

大きなビーズクッションであまりの快適さに「人をダメにするクッション」と呼ばれている物がありますが、クルマでも同様の事が言える様で、数年前に930型ポルシェ911カレラから旧型のBMW X1に買い替えた友人と話しても「SUVは人をダメにするクルマだ(苦笑)」と言っていました。

世界中で流行?しているSUV

近年のSUVブームは目覚ましく、世界中の自動車メーカーはおろかこの数年は高級車やスーパーカーメーカーまでSUVの販売に乗り出し、SUV人気の高いアメリカではいよいよキャデラックやリンカーンもSUVに販売を絞り始め、日本でも一時期はスカイラインが「クロスオーバー」というSUVモデルをラインアップし、海外ではランボルギーニ・ウルスやロールスロイスカリナンといったSUVモデルがアナウンスされ、フェラーリもSUVに参入が噂されています。

▲こちらはマセラティ・レヴァンテ
以前はSUVというとあくまで、荷物も載せて悪路も走る事の出来るレジャー用途のクルマであり、フォーマルな場に乗っていくクルマではなかったのですが、ここ最近は海外のセレブがレセプションやパーティなどにSUVで乗り付ける光景がメディアを飾る事も珍しくなくなり、前述の通りキャデラックやリンカーンは既に販売の主力はSUVに移行し、ポルシェの稼ぎ頭もSUVのカイエン、ロールスロイスもカリナンを発表するなどかつてはスポーツカーやリムジンでフォーマルな場に乗り付けていた人がこぞってSUVに乗るようになっています。
一般ユーザーも言わずもがな、ミニバン、クロカン、ハイトワゴン、セダン、果てはスポーツクーペに乗っていた人までSUVに集約されているような勢いです。件のX1のオーナーの友人と話していると、「楽で速い」そして意外や「思ったより見栄えする」というのです。友人が以前乗っていたポルシェは89年型930型としてはラストイヤーモデルで今となっては30年近いヴィンテージモデル、筆者の様に偏執的なクラシックカー好きならともかく、そうでもない人にとっては25年を超えた古いドイツ製スポーツカーを走らせるには体力や精神力が持たなくなったといって、いまさら車格を落としたくないという事でX1の1年落ち中古車を購入したようなのですが、速さやスタビリティでは930型ポルシェとそん色ないどころか、AWDのスタビリティに、実は高いように見えて意外と低重心の設計(実は国産のハイトワゴン軽乗用車と大差ありません)で、ポルシェより拍子抜けするほど楽で快適で速く、車内も広くてヘッドスペースも大きく、「もう、一度あの快適さと速さを知ったらもう戻れない」とのことでした。
参考:SUV/RV車/クロカンの買取専門ページです

世界中のセレブの間でSUVが大流行した理由?


▲SUVといえどもこのキドニーグリルの存在感は大きいようです
その友人は、元々バイク好きで一時期はポルシェとハーレーエンジン搭載モデルのビューエルを所有していたのですが、今はそのX1とカワサキの250ccバイクになり、以前はクルマで出かけた先でバイクのツーリングの光景を見て羨ましいと思ったのが、今やX1ででかけてツーリングライダーを見てもなんとも思わなく無くなり、カワサキも年に一度のロングツーリングくらいでしかエンジンをかけなくなったと言うのでSUV恐るべしです。
世界中のセレブの間でSUVが大流行したのも、そういったものがあるのかもしれません、昔はフォーマルな場というとフルサイズセダンかリムジン、もしくはスポーツクーペなどデザイン的にも見栄えするクルマで行くのが普通だったと思います。クロカン車やトラックがベースのSUVでそんな場に赴くのはTPO的にもあり得ない話だった事でしょう。しかし、この10数年で事情が変わります、各メーカーが高級車ディビジョンでSUVを販売したり、乗用車ベースのSUVを発売したことで、そういった場所に乗り付けても違和感のないSUVが出始め、一方で世間の目もそういう場にSUVで乗り付ける事に抵抗を感じなくなります。
まるで、スウエットで生活しているうちに、近所のコンビニくらいはスウエットで行くようになり、郊外のショッピングモールくらいはスウエットで行くようになったら、ついにアルマーニとかが普通に外出着として使えるスウエットを出す様になってしまったみたいな感じでしょうか。SUVラボという媒体で執筆の仕事を頂いていながら、一方で街中のクルマがSUVばかりになってしまうというのもなんとも複雑な思いにかられる部分がありますが…

物は試しと乗ってみたら…


物は試しと、ちょっと友人のX1に乗せてもらったのですが、筆者のイメージするクロカンSUVとは違い、至って普通のクルマでした。昔は4WDの車高の高い車だとアシストグリップを握って「よっこらせ」、ミニバンでもフロアが高くて引き戸をガラガラっと開けて多少よじ登るようにして乗る必要があったのですが、今時のSUVは普通にセダンやワゴンに乗るようにドアを開けてシートに体を載せたら足を地面から床に移動するだけ、ドイツ仕込みのいかにも剛性のありそうなボディに、どっしりとしたドアでルーフも高くたしかにSUVが流行るわけだなと…走り出しても腰高感を感じることは無いという話で、しかもさすが重量配分50:50に拘るBMWよく見るとドライバーの位置もホイールベース中央とSUVといえども手ぬかりはありません。しかもこれで、走行性能自体は一世代前のスポーツカーと大差ないというわけですから、走り好きの人からも不満が出ないわけです。
そして思わず筆者が放った一言が「こりゃ人をダメにするクルマだ(苦笑)」実は筆者も諸事情で愛車のセリカが長期修理にかかる事になってしまい、ほんの一カ月ほどですが代車特約で現行ヴィッツに乗っていたのですが、最初は「ヴィッツか~、つまらんクルマなんだろうなぁ」と思っていたのですが、電動格納ミラー連動のスマートキーにブルートゥース対応のカーナビに、自動切換えハイビームとコンパクトカーながら至れり尽くせりの装備に、すっかり慣れてしまい「クルマってこんなんでいいかもしれない」と思い始める始末、筆者がヴィッツに乗ってそう思うくらいですから、ポルシェやビューエルといた刺激的なマシンに乗っていた友人が突然X1で平穏なカーライフを満喫しているのがわかるような気がしました。

大排気量のハイパワーモデルであれば、SUVではほぼ常識となってる4輪トルク制御のAWD、フルサイズセダンをしのぐ快適性と居住性、しかも最新のデバイスによってその性能を誰でも容易に引き出すことが出来るとあれば、スポーツカーやフルサイズセダンの存在意義も揺らいでしまうのも当然かもしれません。
その友人も「時にリーザターボとかフェアレディZとかポルシェとかスポーツカーにも乗ったけどもうこれがアガリのクルマみたいな感じかな」と言っていました。「次に買い替える事があったとしてもアウディのSUVあたりかな」とのことです。どうやら一度良さを知ってしまうともう他のクルマに乗れなくなってしまうのがSUV、若い人にはちょっと寄り道してからSUVにいくのがいいのかもなと思う、元スポーツカー乗りと現在スポーツカー乗りのオジサンからのSUVの所感です。
[ライター・画像/鈴木 修一郎]

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ユーズトカーラボ 編集部
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