コラム

大開口の「パノラマオープンドア」が大きな特徴!トヨタの7人乗りミニバン「アイシス」のおすすめポイント

それでは今週もさっそく「おすすめミニバンのおすすめグレード」に関する研究をすすめてまいりましょう。今週のお題は、2004年9月から2017年12月まで販売されたトヨタの7人乗りミニバン「アイシス」です。

大開口の「パノラマオープンドア」が大きな特徴


トヨタ アイシスは、「全能ガイア」をキャッチフレーズにしながらもイマイチ地味に終わってしまった5ナンバーサイズミニバン「ガイア」の後継モデル。特徴は、1890mmの大開口部がもたらす乗降性の良さと利便性です。
寸法は全長4610mm×全幅1695mm×全高1640mmという5ナンバーサイズで、いわゆる低床ミニバンに属します。そのボディの左側、つまり助手席側はダイハツ タントのようなセンターピラーレス構造となっています。
そして前席のヒンジドアと後席の電動スライドドアが開くことで1890mmという幅広エントランスを実現した「パノラマオープンドア」が備わるというのが、アイシス最大の特徴だといえるでしょう。
もちろん3列/7席のシートをアレンジすることで得られるユーティリティ性も、アイシスの訴求点のひとつです。

助手席にはレバー操作で前方へ折り畳めるタンブル機構を採用。さらに2列目は6:4の割合で分割するシートとし、シートクッションが片手で持ち上がる「クッションチップアップ機構」と、15mmピッチでロックできる最長345mmのスライド機構を採用。3列目への乗り降りをスムーズにするウォークイン機構も備わっています。
3列目は5:5分割で、リクライニング機構付き。トヨタ初だった後方床下格納機構によってシートを床下に格納することができ、格納後はフラットなスペースが出現します。

エンジンは1.8Lと2Lの直4ガソリン2種類


搭載エンジンは、同時期の「ウィッシュ」から流用した2種類で、最高出力132psの1.8Lガソリン直4と、同155psの2L直噴ガソリン直4をラインナップ。トランスミッションは、1.8Lには4速ATの「Super ECT」が組み合わせられ、2Lは無段変速の「SuperCVT-i」です。
CVTには、カーナビゲーションの情報をもとに道路に適したシフト制御を行う「NAVI・AI-SHIFT」も採用。さらに、エアロパーツで身をかためたスポーティグレード「プラタナ」には、マニュアル感覚でギアチェンジできる7速「スポーツシーケンシャルシフトマチック」も備わりました。
装備面では「ステアリング感応式クリアランスソナー」がポイントのひとつ。これは路地などの狭い場所での運転をサポートするため、ハンドル操作と連動して進行方向の障害物を予測し、ブザー音で知らせるというものでした。

モデルチェンジのないまま約13年間放置(?)される


2005年12月には一部改良が行われ、2Lエンジンが「平成17年基準排出ガス75%低減レベル」を達成したほか、全車に対向車への眩惑を少なくする光軸調整用ヘッドランプレベリング機構を採用。さらにオプションのHDDナビゲーションシステムがG-BOOK ALPHA対応となりました。
またこの際、特別仕様車の「プラタナ“G-Edition”」も登場しています。これはスポーティーグレード「プラタナ」をベースに、両側パワースライドドア(イージークローザー、挟み込み防止機能付き)を標準設定するなど、装備の充実を図ったモデルです。
そして2007年5月にはマイナーチェンジが実施されました。フロントバンパー/グリルやリアのガーニッシュ・コンビネーションランプなどのデザインを変更するとともに、インテリアはメーターやステアリングホイールのデザインと、シート&ドアトリムの表皮を新しいタイプに。加えてプロジェクター式フロントランプや、振り返らずに後席の様子が確認できる後席確認ミラーのほか、パドルシフトも一部グレードに採用されました。
さらに、車両前後直下などの死角をカバーする「ワイドビューフロントモニター」がオプションで設定され、2Lモデル「プラタナ」と「G」には運転席側パワースライドドアやパワーバックドア&電気式ドアハンドルなどを装備した「Uセレクション」をラインナップしたのもこのタイミングです。
さらに2009年9月にはエンジンの手直しを行い、新型ウィッシュに採用されたバルブマチック搭載ユニットに変更。さらに全車にCVTを組み合わせることで、燃費の向上が図られました。そのほか機能面では、全車にスマートエントリー&スタートシステムと盗難防止システム、車速感応式オートドアロック、チルト&テレスコピックステアリングが標準装備されるに至っています。
参考:ミニバン/ワゴン車/ワンボックスの買取専門ページです



また2016年4月には微妙な仕様変更も行われたのですが、結局のところアイシスは約13年間にわたり一度も本格的なマイナーチェンジはモデルチェンジを受けることなく、2017年12月をもって販売終了となりました。

今からあえて買う意義は薄いが、値段次第ではアリかも?


結局のところトヨタ アイシスは「やや微妙なミニバン」だと言えなくもありません。
後席はヒンジドアとなるのが一般的な低床系ミニバンに電動スライドドアを付け、さらには助手席側のセンターピラーをなくすことで「パノラマオープンドア」を実現させたのはいいのですが、その分だけボディ剛性は正直今ひとつで、その乗り心地は快適とは言い難いものも一部に感じられます。
それゆえ、今からあえてトヨタ アイシスの中古車を探すことを、特に積極的にはおすすめしません。ですが……「コンディション良好な中古車がかなり格安な値段で売られていて、それをいろいろ割り切ったうえで使う」というのであれば、トヨタ アイシスの中古車を買うというのは決して悪い選択ではありません。

総額60万円以下の好条件中古車なら注目してみたい


問題は「ところでそんな中古車があるの?」ということですが、市場を見てみますと、実はけっこうあります。
具体的には、以下のイメージのような中古車がけっこうゴロゴロしているのです。
●2006年式トヨタ アイシス 2.0プラタナ
車両価格43万円(支払総額59万円)|走行4.4万km|ワンオーナー|禁煙車
「乗り出し価格60万円以下で、まずまずグッドコンディションなミニバンを買う」というのは、人気薄であるアイシスだからこそできる技でしょう。いろいろ割り切って乗るのであれば、このあたりの選択は意外と悪くないかもしれません。
ということで、多少なりともミニバン選びのご参考になったならば幸いです。それではまた来週!
[ライター/伊達軍曹]

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ユーズトカーラボ 編集部
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