コラム

京都のチューニングメーカーの夢、それが1からクルマを作ること。トミーカイラZZに込められた思い

トミーカイラは京都に拠点を置く日本のチューニングメーカー。国産車をはじめ輸入車のチューニングを手がけています。そんなチューニングメーカーの夢、それが1からクルマを作ること。社長の富田義一と副社長の解良(かいら)喜久雄、ふたりの名前から命名されたトミーカイラの夢が叶ったのはふたりが爺になったとき。このことから名付けられたオリジナルカー「トミーカイラZZ」が地上を走れるようになったのは1997年。2人乗り軽量オープンカーのトミーカイラZZは金閣寺がそばにあるトミタ夢工場で開発されました。初代トミーカイラZZはガソリンエンジンを座席後方に搭載したミッドシップ軽量オープンスポーツカー。1999年、保安基準改正により生産中止。2014年、15年の時を経てトミーカイラZZはモーターを動力源とするEVオープンスポーツカーとして生まれ変わりました。そんなトミーカイラオリジナルオープンスポーツカー「トミーカイラZZ」を詳しく見ていきましょう。

公道を走ることができるレーシングカー


出典:ウィキメディア
初代トミーカイラZZは1997年公道を走ることができるレーシングカーとしてデビュー。ボディはアルミニウム製バスタブ構造のフレーム、四輪ダブルウィッシュボーンサスペンション、ボディカウルを構成するFRP(Fiber Reinforcement Plastic:繊維強化プラスチック)によって走りと軽量化に徹しています。軽量化はこれだけではなく、ルーフ、サイドウィンドウ、エアコン、オーディオなど走りに直接関係のない装備は削ぎ落とし軽量化。純粋に運転を楽しむためだけに生まれてきたピュアオープンスポーツカー。車両中央に位置する2つの座席後方に搭載されるエンジンは軽快に吹け上がる軽量コンパクトな自然吸気2.0L直列4気筒エンジン日産製SR20DE。このエンジンの電子制御燃料直噴装置を取り除きキャブレターへ変更、エンジン本来の回す楽しさや吹け上がる喜びを追い求めるほどのこだわり。
参考:トミーカイラZZ買取専門ページ!
軽量・低重心・レーシングスピリットを体現したモデルがトミーカイラZZなのです。イギリスのスポーツカーメーカーロータスのようなスパルタンなクルマを日本のチューニングメーカーが作り上げてしまったのは驚きであり誇らしいことです。公道を走ることができるレーシングカーは京都のトミタ夢工場で開発されましたが、イギリスで生産され日本に逆輸入する形式をとっていました。これは法的認証をとるためにあえて逆輸入方式をとっていたようです。夢を形にした待望の軽量オープンスポーツカートミーカイラZZは販売後600台を越えるオーダーが入りましたが、1999年運輸省により自動車に関する保安基準の改正が行われ輸入車に関する認証基準も変更になりました。法改正の影響によりトミーカイラZZは保安基準に適合することが難しくなり、206台を国内に納車した後400台以上のバックオーダーを抱えたまま生産を中止せざるを得なかったのです。乗りたくても乗れない幻のオープンスポーツカー、それが初代トミーカイラZZでした。

苦難を乗り越えて


出典:ウィキメディア
時代と共に自動車に関する法律、特に安全性や環境性能に関する法律は厳しくなりトミーカイラZZも保安基準という法律の壁に太刀打ちすることができず姿を消してしまいました。初代トミーカイラZZの生産中止から11年後の2010年、トミーカイラZZが電気自動車として復活するとの報道がされました。この復活を支えたのは京都大学で誕生したベンチャー企業グリーンロードモータース(GLM)。電気自動車というベンチャー企業でも参入しやすいカテゴリーと環境問題の関心が高まり次世代自動車へ移行するという時代を盾に法律の壁で途絶えてしまった夢を再び実現できるチャンスに恵まれたのです。復活宣言から2年後の2012年、電気自動車として生まれ変わったトミーカイラZZは国内認証取得に成功。この認証は「組立車制度」という自動車メーカー以外の者が少量生産を行うことができる制度で年間生産台数99台以下に限定されてしまいますがナンバープレートを取得し公道を走ることができます。新車価格は800万円と安くはありませんが国産電気自動車オープンスポーツカーに160件を越えるオファーが集まり2014年から生産が開始されました。こうして長年の時を経て電気自動車という新たなパワートレインで夢を実現したトミーカイラ、初の量産電気自動車をリリースしたベンチャー企業グリーンロードモータース(GLM)、両者の夢と希望が詰まった公道を走ることができるレーシングカーが地上に降り立ったのです。ボディフレームはバスタブ構造で一体成形ツインチューブのアルミニウムフレームを使用し軽量化と高剛性を両立。
サスペンションは前後ダブルウィッシュボーン式を採用しトミーカイラZZが目指す「しなやかな足回り」を実現。ライトウエイトフレームとレーシングカーにも採用されるダブルウィッシュボーンサスペンション、ボディカウルには初代同様FRPを使い、ルーフ・サイドウィンドウ・エアコン・オーディオなど走りに関係のないものを廃し徹底的に軽量化。こうしてオープンボディをもつピュアEVオープンスポーツカートミーカイラZZは復活したのです。全長3,865mm全幅1,735mm全高1,440mm非常にコンパクトな車体、FRPによるグラマラスなボディライン、両サイドのドアは大きくえぐられた形状でミッドシップに搭載されるモーターを冷却するためのエアインテークを設けています。座席は2席、シート後方ミッドシップにレイアウトされているモーターは305PS/42.3Kgmを発生、0-100km/h加速は3.9秒、最大トルクを瞬時に発生させるモーターによりワープするような異次元の加速は電気自動車の醍醐味。ピュアドライブを提供するためトラクションコントロール、パワーステアリング、スタビリティコントロールなどの電子デバイスは装着していません。文字通りクルマを操縦するという感覚を教えてくれる究極のエレクトリックオープンスポーツカー。インテリアも余計なものはなくクリーンでシンプル、小物入れやドリンクホルダーもなく、インテリアにあるのは操縦装置とダッシュボードに配置されているハザードランプ・シフトセレクター・非常用キルスイッチのみ。
デジタルメーターには速度、バッテリー残量、出力、電圧、モーター温度、バッテリー温度などが表示されます。シートは前後スライド調節ができるフルバケットタイプ、ステアリングは固定式。ドアハンドルは車内にしかなくオープン前提であるため外からドアを開けるときには車内のドアハンドルを操作するしかありません。乗り心地はレーシングカー、クルマにかかる負荷をダイレクトにドライバーに伝えてくれるためスポーティーでスパルタン、無言で運転に集中してマシンと対話をしながら操縦を楽しむ環境が整っています。キャビン後方には走りの要となるパワーユニットが収まり、フロントフード内には補機類用のバッテリーやウォッシャータンクなどが収められているためラゲッジスペースはありません。実用性や快適性はありませんが乗り物を操ることやピュアドライビングとは何なのかということを教えてくれるエレクトリックオープンスポーツカーが2代目トミーカイラZZです。

トミーカイラZZはEVがオススメ


出典:ウィキメディア
さまざまな困難と協力によって復活を遂げた日本発の公道を走ることができるレーシングカートミーカイラZZですが、もし手に入れるのであれば電気自動車になった2代目トミーカイラがオススメです。その理由は、まず、環境と走りを両立するモーターを動力源にしていることです。電気自動車に乗ったことのある人ならわかるとは思いますが、内燃機関では体感できない瞬時にトルクが溢れ出すモーターの鋭い加速は一度知ってしまうと内燃機関の加速が鈍く感じてしまうほどです。オープンスポーツカーというトミーカイラZZのキャラクターとモーターがもたらす走りの鋭さが見事にマッチしているところがオススメの理由です。新車では800万円ほどしますが中古車であれば少し割安に購入することができます。オススメ理由2つめはランニングコストの安さです。
税金の優遇措置によりの税金が安く済むことが多いようです。また燃料費にあたる電気代もガソリンと比較すると割安なのも魅力のひとつです。いいことばかりに感じるエレクトリックオープンスポーツカートミーカイラZZですがデメリットもあります。それは電気自動車に共通して言える問題点である航続距離。トミーカイラZZは軽量化による軽快で痛快な走りが魅力ですが、航続可能距離は120kmと短めです。近年、充電設備が増えスマートフォンのアプリケーションで検索することも可能になりどこで充電すれば良いのかという運転計画を立てられるようになりました。トミーカイラZZで出掛けるときにはどこで休憩するのかあらかじめ計画しておくことが必要です。またバッテリー残量計を過信しすぎず余裕をもって早めの充電を心がけるようにしてください。もうひとつのデメリットは屋根がないこと。オプションで簡易的なルーフを取り付けられますがサイドウィンドウはオプションでも取り付けることはできません。よって、出掛ける日の天候や保管場所を選ぶクルマ。屋根付き防犯設備完備の駐車場でなければ万が一のことがあったときに大きな損害を被ることになってしまうこともあります。

期待の国産EVオープンスポーツカー

まだ問題点が多く残る電気自動車。今後、技術の進化などにより改善できる点も多く存在します。トミーカイラZZのキャラクターを残し活かしながら、自由な発想と革新の可能性を秘めているベンチャー企業の協力によってさらなる躍進を期待するとともに運転する楽しさ操る歓びを与え続ける存在であってほしいですね。
[ライター/齊藤 優太]

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