それでは今週もおすすめミニバンのおすすめグレードに関する研究を進めてまいりましょう。今週のお題は、2004年から2013年まで販売されていたホンダの最上級Lサイズミニバン「エリシオン」です。
今なおまずまず魅力的なLサイズミニバン
2013年11月以降は絶版となっているホンダ エリシオンですが、その中古車はまだまだ豊富に流通しています。そして1世代古い設計のLサイズミニバンではありますが、コンディションの良い個体を上手に探すことができれば、かなり手頃な予算でナイスなLサイズミニバン生活が始められるでしょう。
つまり「中古車としては依然それなりに魅力的」ということです。
であるならば、その上手な選び方を少々考えてみようではないですか。
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前期型のエンジンは3L V6と2.4L直4の二種類
まずはエリシオンというミニバンの概略からカンタンにご説明しましょう。
前期型のエリシオンが登場したのは2004年5月13日。キャッチフレーズは、「新世代プレミアム8シーター」で、ライバルは当然、当時の日産エルグランドやトヨタ アルファードでした。
全長は4.8m強で、低床が自慢のフラットなフロアにフレキシブルにアレンジ可能な「2+3+3」シートを配置。2、3列目へは後部両側のスライドドアからアクセス可能です。
エンジンは250psの3L V6と160psの2.4L直4「i-VTEC」の2種類で、トランスミッションは5速AT。駆動方式はFFに加え、4WDも用意されていました。
「インスパイア」譲りの3L V6エンジンは、走行状況に応じて6気筒の半分である3気筒を休止させ、燃費性能を向上させる機構「可変シリンダーシステム」を採用。一方の2.4L直4は当時のオデッセイなどと同型で、こちらはV6と違ってレギュラーガソリン仕様です。
2006年末から怒涛の3.5L V6を追加
2006年12月にはマイナーチェンジが行われました。マイナーチェンジの目玉は最上級グレード「エリシオン・プレステージ」の登場です。
300psと36.0kg-m(4WDは279ps/35.0kg-m)を発生する3.5L V6「VTEC」ユニット+5速ATを採用したことで、エリシオンは排気量的には日産エルグランドと肩を並べるまでになり、パワー的には当時のトヨタ アルファードを含む国産ミニバンのなかでは当時最高の数値となったのです。
エクステリアでは、フロントグリルなどで迫力感を演出。インテリアにはインストルメントパネルと一体化した大型センターコンソールが与えられました。
従来からの3L版と2.4L版も当然ながら引き続きラインナップされ、こちらはヘッドランプやフロントフェイスなどを変更。また2列目シートにキャプテンシートをメーカーオプション設定するなどの改変も受けました。
中古車の流通量は今なおかなり豊富
以上がホンダ エリシオンというミニバンのざっくりとしたヒストリーなわけですが、冒頭で申し上げたとおりエリシオンは今や絶版車ですので、買う場合は「中古車」を探すほかありません。
で、エリシオンの中古車流通量は今なおなかなか豊富です。具体的には2019年3月上旬現在、カーセンサーnetには計687台のエリシオンが掲載されています。
相場は約8万~約200万円と、かなり上下に幅広い状況です。さすがに「8万円のエリシオン」というのはかなりアレだったりもしますので検討対象外にするとして、「ほど良い感じの中古エリシオン」というのはいくらぐらいで、どんな感じの個体になるのでしょうか?
注目すべきはこんな感じの中古車!
調査によれば、それはおおむね以下のようなイメージです。
●3.5L V6搭載の最上級グレード「プレステージ」を狙うなら?
・2007年式プレステージ SG HDDナビパッケージ
・走行5万km台
・車両価格80万~110万円付近
●3L V6搭載グレードを探すなら?
・2007年式3.0 VG エアロ HDDナビスペシャルパッケージ
・走行5万km台
・車両価格70万~90万円付近
●2.4L直4搭載グレードがいいなら?
・2008年式2.4G エアロ HDDナビスペシャルパッケージ
・走行5万km台
・車両価格80万~100万円付近
上記はあくまでイメージですので、実際はもっと高い中古車もあります。でも「これからあえて中古のエリシオンを買う」というのであれば、わざわざ200万円以上のそれなりに高額な予算を投じる意味はあまりないように思えます。
そういった意味で、中古車を探すうえでの「ちょうどいい落とし所」が上記ぐらいのゾーンなのではないかと考える次第です。
3Lはやや中途半端。探すなら3.5Lか2.4Lの二択で
ただし中間グレードに相当する3L V6エンジン搭載モデルは、中古車の流通量が若干少なめです。本気で探す場合は3.5L V6の最上級か、または最廉価な2.4L直4搭載グレードのほうが何かと探しやすいでしょう。
実際の乗り味や維持に関する納得度などから考えても、3L V6はいささか中途半端です。Lサイズミニバンならではのパワー感が好きな人は「……どうせなら3.5Lにしときゃ良かったかな?」と後悔しそうでし、堅実に維持したい人にとっては、3Lというなかなかデカい排気量がムダと感じられることでしょう。
ということで結論です。
もしもこれからホンダ エリシオンの中古車を探すのであれば、エンジンは「最大の3.5L V6」か、「最小の2.4L直4VTEC」の二択です。
どちらを選ぶべきかは人それぞれの価値観次第なんですが、基本的には3.5L V6の「プレステージ」を探すほうが、Lサイズミニバンならではの世界観を堪能するうえではおすすめとなります。
あとは中古車としてのコンディションとプライスとの兼ね合いを見ながら、販売店の店頭にて楽しく悩んでいただければと思います。
多少なりともご参考になったならば幸いです。それではまた来週!
[ライター/伊達軍曹]