それでは今回もさっそく「おすすめミニバンのおすすめグレード」に関する研究を進めてまいりましょう。今回のお題はドイツBMW社の7人乗りMPV「BMW 2シリーズ グランツアラー」です。
BMWでは初の7人乗りMPV
BMW 2シリーズ グランツアラーはBMWとしては初の7人乗り車で、日本でのデビューは2015年5月。その約1年前にデビューした2シリーズ アクティブツアラーのホイールベースと全長を延ばし、ルーフも高くして3列シートの7人乗りとしたモデルです。
ボディサイズは全長4565mm✕全幅 1800mm✕全高 1645mmで、ホイールベースは2シリーズ アクティブツアラーより110mm延長された2780mm。日本製のミニバンで言うとマツダ プレマシーにおおむね近いサイズだと言えます。
乗車定員は前述のとおり7名で、2列目と3列目シートは乗車人数と用途に合わせて多彩なアレンジが可能。2列目シートは前後130mmのスライド機構付きで、バックレストには40:20:40の独立フォールディング機能も備わっています。
3列目シート自体はそう大きなサイズではないため、「ほぼ常に7人乗り」みたいな使い方には正直あまり向いていません。しかし3列目シートは前方に倒すことでフロアに収納でき、そうした場合のラゲッジ容量は560L。そして2列目シートのバックレストまで倒すと最大1820Lまで拡大できます。3列目はあくまで「補助シート」と考え、普段は後部エリアを広く使う――という使い方が向いてそうです。
導入時のエンジンはガソリン2種類とディーゼル1種類
初期のBMW 2シリーズ グランツアラーに採用されたパワーユニットはガソリンが2種類とディーゼル1種類で、いずれもBMWの新世代直噴ターボ。ガソリンは「218i」用の1.5L直3が136psで、「220i」用の2L直4が192ps。「218d」用の2L直4ディーゼルターボは最高出力150psと33.7kg-mの最大トルクを発生しました。トランスミッションは218iが6速ATで、220iと218dは8速ATです。
安全装備では、カメラを使った衝突回避・被害軽減ブレーキを中心とする「ドライビング・アシスト」と、「LEDヘッドライト」「リアビューカメラ」などが全車に標準装備。ドライビング・アシストの機能をさらに強化した「ドライビング・アシスト・プラス」や、ヘッドアップディスプレイを組み合わせた「アドバンスド・セーフティ・パッケージ」もオプションとした設定されました。
2016年9月1日には仕様を一部変更し、「218dアクティブツアラー Mスポーツ」と「218dグランツアラー Mスポーツ」「220iグランツアラー Mスポーツ」の3モデルにパドル付きの8速ATを採用。さらに翌2017年1月には2L直4ディーゼルターボと4WDを組み合わせた「218d xDrive」を追加設定しています。
参考:BMWのミニバン。2シリーズグランツアラーの買取ページ!
そして2018年6月にはさらに仕様を変更。新デザインのキドニーグリルとLEDヘッドランプを採用することで、ややダイナミックなイメージの造形となりました。またフロントバンパーもこのタイミングで大型エアインテークを左右に配した新形状に変わっています。さらにリアまわりも、大型化したバンパーと90mm径まで拡大したエキゾーストテールパイプを組み合わせること存在感が強調しました。
またこのとき、1.5L直3ターボを搭載する218iは、従来の6速ATから7速DCTへとトランスミッションが変更されています。
新車で買うならイチ推しは218dグランツアラー ラグジュアリー
2020年1月現在、もしもBMW 2シリーズ グランツアラーを新車として購入する場合の候補は、現在販売されている下記の各グレードとなります。
218iグランツアラー(FF/7速DCT)|421万円
218iグランツアラー ラグジュアリー(FF/7速DCT)|478万円
218d xDriveグランツアラー(4WD/8速AT)|471万円
218dグランツアラー ラグジュアリー(FF/8速AT)|503万円
218d xDriveグランツアラー ラグジュアリー(4WD/8速AT)|528万円
これらのなかから選ぶとしたら、装備が充実していながらまずまず(輸入車としては)お手頃な「218iグランツアラー ラグジュアリー(FF/7速DCT)|478万円」か、「218dグランツアラー ラグジュアリー(FF/8速AT)|503万円」がおすすとなります。この2グレードは4WDではなくFFですが、豪雪地帯にお住まいの方やハードなアウトドア趣味をお持ちの方以外は、4WDではなくても普通に十分であるはず。
1.5Lのガソリン直3ターボにするか、はたまた2Lの直4ディーゼルターボにするかは迷うところです。しかし低~中回転域におけるトルクが豊かなのは圧倒的にディーゼルターボで、MPVにっとっては高回転域うんぬんよりも、そのあたりの回転域でのドライバビリティのほうがよっぽど重要でしょう。
それゆえもしも予算に余裕があるのであれば、個人的にはディーゼルターボのほうをおすすめしたいと考えます。
本当のおすすめは100万円台か200万円ちょいの「中古車」か?
とはいえ、先ほど「(輸入車としては)お手頃な」と申し上げましたが、やはり478万円とか503万円というのは普通に考えて「お手頃」とは言えないでしょう。「……けっこう高いな」というのが、筆者を含む多くの人にとって正直なところなのではないかと推測します。
それゆえ「比較的小ぶりなMPVに500万円以上も払う気はないよ!」という人が多いと思われますが、しかし「中古車」のほうは割とリアルに「お手頃」です。
走行2万km台までの物件に絞ったとしても、2016年式の218i(ガソリンターボ)を車両150万円付近から探すことができ、ディーゼルターボ搭載の218dも190万円ちょいのあたりから検討することができます。「低走行なBMW製MPVが100万円台または200万円台前半」ということであれば、それなり以上の納得感とお買い得感はあるはずです。
ただき前述の相場はいわゆる前期型のもので、2018年6月以降の後期型は7速DCTになった218iが車両250万円~といったニュアンスで、人気の218d系は260万円~といったイメージ。新車価格から考えればこれでも十分以上に「割安!」ではあるのですが、車両本体に250万円以上を投じるとなると「国産SUVの新車を買ったほうがいいかな?」という考えも頭をよぎってしまいます。
まあこのあたりは各自の価値観次第なので断定的なことは言えませんが、基本的には、あえて中古車でいくならば「100万円台か、せいぜい200万円ちょいの予算感で、1クラス上の輸入車を堪能する」というのが基本かなとは思う次第です。
ということで結論としては、BMW 2シリーズ グランツアラーをこれから狙うなら「最終的な考え方は各自のご自由ですが、基本的には200万円前後の低走行中古車(特にディーゼルターボの218d)を買うのがおすすめ」ということになります。
多少なりともご参考になったならば幸いです。それではまた次回!
[ライター/伊達軍曹]