豆知識

過走行は査定が下がる?走行距離と査定価格の関係

中古車の価格を決める要素で大きなものの一つに走行距離があります。過走行の車は見えないところに負担がかかり査定価格が下がりがちになってしまいます。
高額査定をしてもらうためには走行距離は何kmぐらいを目安に売却すると良いのでしょうか。この記事では、走行距離と査定価格の関係性について解説していきます。

過走行車の査定が下がる理由

車は精密機械の集合体であり、使えば使うほど摩擦や過熱による消耗、性能劣化が発生します。技術がどれだけ進歩しても、消耗箇所が出てくることは避けられません。新車ならばどの車両の状態はほぼ同じだと言えますが、中古車の場合は走行距離やそれまでの使い方によって消耗度合いが変化します。そのため走行距離は中古車の販売価格に少なからず影響し、買取時の査定価格も走行距離によって変動します。
かつては「10年10万kmで査定ゼロ」と言われていました。新車から10年経過するか走行距離が10万kmを超えると買取時の査定価格はゼロになるという意味です。10年経過はともかく、10万kmという距離の理由は何でしょうか。これは自動車を構成する部品の中に、10万km程度を目安に交換する必要のあるものが多く存在していることが一因となっています。エンジンのタイミングベルトやプラグ、MT車のクラッチディスク、ホースやシール類、足回りのショックアブソーバー、ブレーキローター、ウォーターポンプなどなど、挙げれば切りがありません。これらを全て交換していたら軽く50万円を超え、多くの車の査定価格は吹き飛んでしまうでしょう。ですので、廃車せず再販できる見込みがあってもなかなか値段が付けられませんでした。
現在販売されている車種では、タイミングベルトに代えてメンテナンスフリーのタイミングチェーンが多く採用されています。MT車は絶滅危惧種と化しており、AT車やCVT車ではクラッチ交換の必要もありません。また、多くの海外市場は国内に比べ点検や整備に神経質ではありません。そのため、以前に比べれば過走行車でも査定価格が付きやすい状況ではあります。

査定が高評価になる走行距離

一般的に、「経過年数×1万km」程度が走行距離の目安と言われています。実際の劣化度合いは走行距離だけでなく走行頻度やシチュエーションにも大きく左右されるため、この目安に機能的な根拠はありません。しかし中古市場で「売れる車」の目安としてはある程度有効でしょう。これより少ない走行距離であれば買い手が付きやすく回転速度も早いため、査定的にはプラス評価を得られます。とは言え、走行距離でプラス査定となるのは車が比較的新しい状態、具体的には5年目くらいまでと考えた方がよさそうです。少走行車は「付加価値としての評価」であり、年数を経過し基本の査定額が低くなっている場合にはあまり効果を得られません。現行車種など新しい車の場合はある程度まとまった査定アップが期待できるでしょう。
例外として、古い車であっても希少車種の少走行車は数十万~100万円単位のプラス査定となる場合もあります。一例としてスープラやシルビア、RX-7など1990年代の国産スポーツカーは市場に程度の良い車がほとんど無いため、少走行車は海外も含めた争奪戦となり価格が高騰しています。

査定が低評価になる走行距離

前述した通り、現在では10万km以上の走行距離でもゼロ査定にならない場合もあり得ます。しかし、それでもやはり多くの車ではゼロに近い査定額となるでしょう。また、「経過年数×1万km」という基準を大きく超えて走行している車もマイナス査定となります。この場合は基本の査定額が高い、新しい車ほどマイナス幅が大きくなりがちです。買ってすぐに修理や大掛かりな部品交換が必要になるリスクを持つ車は中古市場でも避けられてしまい、中古車販売店の長期在庫となる可能性も出てきます。長期在庫となれば販売店は買取価格をなかなか回収できません。マイナス査定にはこのようなリスク管理も加味されているのです。過走行車の売却を検討する際に、自社販売を行わない買取専門業者の査定も見た方が良いという理由でもあります。

中古車市場で売れ筋の走行距離

査定では走行距離が少ないほどプラスになるという話を見てきましたが、実は中古車市場では「距離が少ないほど人気がある」という訳ではありません。理由の一つが価格とのバランスです。少走行車は同じ車種でも比較的高価になるため、「手ごろな中古車」を探すユーザーの選択肢からは外れ、現行車種の少走行車では新車も競合対象となってきます。また極端な少走行車は整備状態の不安から避けたいというユーザーも。確かに、1年に数回しか動かさないというような状況下では、作動部の固着や潤滑不良など過走行とは別の問題が出る場合があります。一方、過走行車が整備費用の問題から避けられるのは先に述べた通りです。結果として、年式から見た標準的な走行距離よりも若干少ない走行距離、くらいの車が売れ筋になってきます。
ですので、「少走行車でなければ査定プラスにならない」という訳ではありません。査定には走行距離だけでなく様々な要素が関係するため、買取専門業者などで実際に受けてみないと分からない部分もあります。乗り続けるかどうかを選択する際の指針にもなるので迷ったら一度受けておくことをお勧めします。
別の見方もしてみましょう。自動車検査協会や自動車工業会の統計データによると、車の平均使用年数はおよそ14年、新車購入から乗り換えまでの平均期間はおよそ8年ほどとされています。年間1万km走行の基準通りと仮定して単純計算すれば、中古車市場には8万km程度走行した車が多数存在していることになります。車の売却を検討している方は、この数字が一つの境界線になるでしょう。8万km以上の走行距離となると、市場への供給量も多くなり高額査定は難しくなってきます。逆に、これから中古車購入を検討している方はこのくらいの走行距離で探すと比較的割安に購入できる可能性がありますね。
よく「高額査定を狙うなら5万km以内が目安」という声も聞かれます。実際には車によって条件は様々であり、一概に「この距離以内」と言える訳ではありません。目安として、日本自動車査定協会の基準では年式によらず走行距離6万kmを超えると少走行の査定プラスがつかなくなります。

まとめ

走行距離と査定価格の関係について見てきましたが、いかがだったでしょうか。走行距離が査定価格を決める際の重要な要素であることは間違いありません。「年数×1万km」など、基準になる部分はご理解いただけたかと思います。しかし、距離だけで全てが決まるわけでもありません。過走行車とされる10万kmオーバーの車でも思いのほか高値がついた、というケースはたくさん存在しています。6万kmを超えると距離による査定アップがつかないという話も、あくまで標準的なものですので、その基準だけで査定価格が決まるわけではありません。
「走行距離が増えてきた」「乗り続けるかどうか迷っている」と言う方は、一度専門業者の査定を確認してみることをお勧めします。結果的に乗り続けるとしても、現在の査定価格が分かっていれば今後の判断基準として検討しやすくなるでしょう。それでは、この記事が皆様のより良いカーライフの一助になれば幸いです。

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ユーズトカーラボ 編集部
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