コラム

日産のスポーツセダンの代名詞!名車「ブルーバード」の魅力と系譜をご紹介

みなさんこんにちは!今回はかつて日産が53年の長きにわたって生産していたミドルクラスのセダン、ブルーバードを紹介します。トヨタ・コロナと熾烈な販売競争を繰り広げ、ラリーなどの競技でも活躍した、日産を代表するモデルのひとつです。
SSS(スーパースポーツセダン)と呼ばれるスポーツグレードが有名ですが、一方で耐久性の高さが買われてタクシー用のベース車両としても活躍しました。ブルーバードはのちに「ブルーバードシルフィ」となり生産が続けられていましたが、2012年のフルモデルチェンジの際に「シルフィ」に名称変更され、ブルーバードの名前はついに消滅。日産の黎明期から活躍していた名車に、今改めて迫ります。

記念すべき初代モデルの登場

ブルーバードの初代モデル、310系がデビューしたのは1959年のこと。1963年の生産終了までに311型、312型とマイナーチェンジしつつ進化し、約21万台を生産するヒット作となりました。発売当初のボディタイプはシンプルに4ドアセダンのみで、エンジンは1リッターと1.2リッターの直列4気筒OHVを設定。「ダットサン・ブルーバード」を名乗ったこのモデルは、ダットサンとしては初の前輪サスペンションを独立懸架としていて、乗り心地や操縦性が飛躍的に向上しています。
1960年には日本初のステーションワゴンが追加。同年のマイナーチェンジのタイミングで、トランスミッションが日本初のフルシンクロメッシュとなり、モデルナンバーも311型へと進化します。このように、スタイリングこそクラシックな雰囲気を漂わせていましたが、内面のメカニズムなどに関しては、積極的に新技術を取り入れていました。
また、初代モデルで注目したいポイントは、1963年に早くもサファリラリーに参戦しているということ。残念ながら出場した2台ともリタイヤという結果でしたが、耐久性・スポーツ性の高さをラリーで証明するという姿勢は、初代モデルから一貫して持っていたのです。

デザインが不評だった2代目モデル

2代目モデルの410系は1963年から1967年にかけて生産されました。スタイリングを担当したのは、イタリアの名門・ピニンファリーナ。アルファロメオ・ジュリア系を彷彿とさせる流麗なエクステリアは個人的にとても美しいと感じるのですが、当時の日本のユーザーからは不評で、マイナーシェンジでエクステリアの大幅な変更が行われるほどでした。販売面でも不調で、トヨタ・コロナに初めてリードを許します。
一方で、ブルーバードのイメージの代名詞的存在となる「SSS(スーパースポーツセダン)」が初めて設定されたのは、この2代目モデルでした。エンジンは初代からのキャリーオーバーで、1リッターモデルが45ps、1.2 リッターモデルが55psでしたが、1964年の「1200SS(スポーツセダン)」で65ps、1965年についに設定された「1600SSS」では90psまで進化。ブルーバードのスポーツイメージを牽引していくことになります。
参考:セダンの買取専門ページです

初期ブルーバードの代表作、510型


参照元:ウィキメディア
そして1967年。ブルーバードの歴史の中でも指折りの名車と称され、販売的にも、そしてモータースポーツでも輝かしい成績を納めた3代目モデル、510型が登場します。1972年12月の生産終了までに155万2,263台がラインアウトし、北米市場でも大ヒットを記録。あくまで廉価な価格設定にも関わらず、ヨーロッパ車並みの高性能を秘めたセダンとして「プアマンズBMW」との異名を持ち、多くの若者にとって「最初に選ぶ一台」となりました。ブルーバードはのちに販売された初代フェアレディZと共に、ダットサン(日産)の北米での躍進の立役者となったのです。
ブルーバードは、1リッタークラスのダットサン・サニーの登場によって、1.3リッター〜1.8リッタークラスのミドルクラスへサイズアップ。すでに旧態化していたメカニズムも一新し、多くの新機軸を採用しました。エンジンは「L型」と呼ばれる新開発の水冷直列4気筒SOHCエンジンを採用し、まだOHVのままだったトヨタ・コロナに先駆けてエンジンの刷新を図りました。
足回りについても、日産で初めて全輪独立懸架を採用。フロントはマクファーソンストラット、リアはセミトレーリングアームとし、欧州車レベルの足回りを獲得。今まで以上に乗り心地や操縦性、路面ホールディング能力が向上しました。
L型エンジンはのちに6気筒バージョンがスカイラインやフェアレディZに搭載されるほどスポーツ性能の高いエンジンで、ブルーバードはスポーツセダンとしての地位を3代目モデルで確立。特に、1970年に登場した1800SSSは、1.8リッターのエンジンから100psを発生。翌1971年には105psに進化します。100psオーバーという出力は、当時の水準から考えると2リッター以上のエンジンのスペックであり、ブルーバードがいかに時代の先を進んでいたのかがわかります。
強力なエンジンと優れた足回り、そしてタフさを備えた510型は、1970年のサファリラリーでは総合優勝、クラス優勝、チーム優勝の三冠を達成。上のクラスのクルマを蹴落とす、圧倒的な戦績を残します。今ではあまりイメージが結びつかないものの、当時は「ラリーといえば日産」の時代だったのです。

910型は記録的大ヒット


参照元:ウィキメディア
しかし、510系の大成功の後、しばらくブルーバードにとって不振の時代が続きます。いつの時代も、大ヒットモデルの後のフルモデルチェンジは難しいのでしょう。4代目、5代目モデルの時期はオイルショックや排ガス規制も重なり、自動車業界全体が苦境に立たされていた時期でもあります。
その後、ブルーバード史上、510型と並んで大成功をおさめるモデル「910型」が1979年にデビューします。6気筒エンジンを搭載するなど、拡大傾向にあったブルーバードですが、この代では改めて「4気筒エンジン搭載の中型セダン」として原点回帰。510型を彷彿とさせる直線基調のソリッドなエクステリアデザインを持つ、バランスの取れたセダンとして登場しました。
結果として、910型は1.6〜2リッタークラスの小型車カテゴリーで、27ヶ月連続新車登録台数1位を獲得する大ヒットを記録します。また、スポーツグレードであるSSSには、ついにターボエンジンが搭載されました。1.8リッターターボは最高出力135ps/6000rpm、最大トルク20.0kgm/3600rpmを発生。0→400mが16秒台、0→100km/hが10秒台という俊足を誇りました。ブルーバードはこのモデルを最後にFRをやめ、時代の流れに沿ったFFへと変わっていくことになります。

希少なラリー競技ベース車両「SSS-R」

7代目モデル・U11型では、正式名称が「ダットサン・ブルーバード」から「日産・ブルーバード」に変更され、先述の通りこの代以降はFFとなりました。続く8代目・U12型では、ブルーバード初の4輪駆動車が設定されます。この代の注目グレードは、何と言っても「SSS-R」です。ラリー競技出場を念頭に置いたスペシャルモデルで、外観上はエアインテークが開けられた専用のエンジンフードが特徴。ロールバーはなんと標準で装備され、ミッションもクロスレシオ化、エンジンも標準のSSSのターボモデルから10ps増しの185psとなるなど、あらゆる場所に手が入っています。
装備内容はベースグレード並みに質素な一方、カムのオーバーラップの増加、ステンレスエキゾーストマニホールドの採用、コスワース社製の専用鍛造アルミピストンの採用、4人乗りの他に2人乗り仕様があるなど、国内JAF競技用ベース車らしい特別装備が魅力です。

スポーツイメージとともに歩んだ半世紀

その後は丸みを帯びたデザインが特徴のU13系(1991年販売)、ボクシーでスクエアな箱型に回帰したU14型(1996年販売)を経て、ブルーバードは「ブルーバードシルフィ」へと改名し、2012年まで生産されていくことになります。
その歴史の中で、常にスポーティなイメージとともにあったブルーバード。「技術の日産」を体現しながら、あくまで庶民の手に届く存在であったブルーバードは、多くの人々にとって「身近な憧れ」の対象だったと言えるでしょう。今後もブルーバードのような、手が届く範囲の価格でありながらワクワクさせてくれるようなセダンの登場を期待したいところですね。それでは、また次回の記事でお会いしましょう!
[ライター/守屋健]

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