コラム

デバイスの技術の向上によりスタビリティの問題を克服できたSUV。これからはSUVが一般的な自動車の形態になるのかもしれない

前回、リムジンにとって代わってフォーマルな場にセレブが乗りつけるクルマになるくらい、SUVは人をダメにするクルマではないか?などと書いたのですが、実は先日、別のメディアの取材で最近フルモデルチェンジした某新型の国産高級車に乗ってきたのですが、その思いをより強く感じるようになりました。
その国産高級セダンはオーナーの高齢化が問題視され、今世紀に入ってから大胆な路線変更を敢行し若年層のユーザーを取り込むことに成功しましたが、今期型ではスタイリッシュさを求めるあまり、肝心なリアシートのスペースユーティリティを犠牲にしてしまうというフォーマルセダンに有るまじき失態を犯してしまったようにも思えました。個人的には4ドアセダンでリアシートが狭い、窮屈と感じさせてしまうのはもっとも犯してはならない失敗だとおもうのですが、近年欧米では「4ドアクーペ」と呼ばれるセミファーストバックのような傾斜の強いリアウィンドーとルーフラインで、とくにCピラーはリアシートのパセンジャーの真横を貫くような物で、とてもではないですがハイヤーやショーファーカーとして使うには相応しい物とは思えませんでした。

高級車のレンジがSUV型に移行している?


そこでふと、思いだしたのが前回の「SUVが人をダメにする」の話です。世界中のセレブがリムジンやフルサイズセダンよりもSUVをフォーマルカーとして使うようになった理由はここにあるのではないかと…アメリカの高級車ブランドのキャデラックとリンカーンはすでにSUVが販売の主力に移行しています、ロールスロイスもカリナンというSUVを発表したわけですが、フォーマルカーやプレステージカーがSUVへとってかわられるという現象の要因の一つが、近年の高級車のデザインの変化によるものかもしれません。

セダンの低重心化とモノフォルム化の功罪

私見なのですが、日本でミドルセダンが全滅してしまった要因はスタイルやCd値重視で1990年代に極端に車高の低い4ドアセダンや4ドアハードトップが増えてしまい、十分なサスペンションストロークが確保できない、乗員の頭上まで窓ガラスが倒れこむくらいに低いルーフとヘッドスペースで、「4ドアセダン(およびハードトップ)は狭い」という印象を与えてしまい、ユーザーはトールワゴンやミニバンとそしてSUVに流れてしまったのではないかと思っています。筆者は欧州で「4ドアクーペ」もしくはそれに準じたデザインの4ドアセダンが増えていると聞いて少々不吉な物を感じていました。昔は高級車の条件の一つに「シルクハットをかぶったまま乗車できる」というのがあったと言います。往年のロールスロイスファンタムにいたっては全高は175cm、現在のミニバンやSUVと変わらない車高です、ピラーも窓ガラスも垂直に近いくらい立っているので乗り降りも楽で、当然ですがパセンジャーが窮屈に感じる事はありません。

デバイスの技術の向上によりスタビリティの問題を克服できたSUV


そんな話をしていて友人が放った一言が、「よくよく考えたらロールスロイスのカリナンって、戦前のロールスロイスの形に戻っただけじゃないか?」ということでした。
たしかに、1930年代のセダンというとまだ、馬車の時代のデザインの名残でキャビン部分は背の高い真四角のボディで、時代が進むにつれ、最高速性能の高速化が進み、次第に低重心化と低Cd値が求められ、今世紀にはいるとセダンもモノフォルムが主流になります。その一方で1990年代中頃から、ユーティリティ重視の車高の高いクルマに人気が出始めますが、車高が高い故の重心バランスの悪さから高速旋回時の横転事故が問題視されることになります、ところが近年にはいるとスタビリティコントロールやサスペンション技術の向上で、SUVのような車高の高いクルマでも、十分な旋回性能や乗り心地を確保する事が可能になり、高速旋回性能のために車高の低いセダンボディである必要もなくなります。そうなるとスペース効率やホスピタリティでは当然車高の高いSUVボディにかなうものはありません。
同様のジレンマはスポーツカーも抱えているようで、昔はスピードを求めようと思ったら車高の低いクーペボディのスポーツカーである必要があったのが、今や並みのスポーツカーを凌駕する性能を持ったSUVも珍しくありません。それはフェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェ、マセラティなどスポーツカーやGTカーメーカーまでSUV市場に参入してることが物語っているでしょう。
参考:SUVの売却専用ページ!

これからはSUVが一般的な自動車の形態となりセダン・クーペはマニアックな存在に?


日本ではほぼ絶滅危惧種に近いセダンですが、欧米でもセダンが絶滅すとまではいかないまでも、間違いなく主流はSUVにとって代わられるのは間違い事でしょう。前述の通りすでにキャデラックとリンカーンも販売のメインがSUVとなり、ロールスロイスもカリナンの販売に至ったとあれば、国産の高級セダンのブランドもディビジョンという形でクロスオーバーSUVをラインナップするのではないかとさえ思えてきます。
SUVの記事を書きながら実は、セダン・クーペびいきの筆者ですが、今後の動向をみるとハイエンドモデルがすべてSUVととって代わられるとまではいかないまでも旧来、高級車やスポーツカーがになっていたレンジの主流がSUVになって、セダンやクーペボディの高級車やスポーツカーはマニアック、もしくは保守的なユーザーむけに向かっていくのかもしれません。
[ライター/鈴木修一郎 画像出典]

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ユーズトカーラボ 編集部
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