みなさんこんにちは!近年はクルマのモデルチェンジのサイクルが以前にも増して早くなり、クルマのデザインも数年経てば陳腐化してしまうような「トレンドの流れ」を実感せずにはいられません。今や世界最大の自動車市場となった中国の影響が大きいとはいえ、この流れの速さについていけない…と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回ご紹介するリューギは、そんな時代の流れに逆行するような、硬派な一台です。かつて、モデルチェンジなしで10年以上作り続けられるような、ロングセラー車が当たり前だった時代から飛び出してきたかのようなリューギは、日本でも、いや世界を見渡しても非常に珍しい立ち位置のクルマと言えるでしょう。今回は、光岡自動車リューギの魅力をたっぷりとご紹介していきます。
光岡自動車リューギとは?
光岡自動車は、富山県を本拠地とする、日本で10番目の自動車メーカーです。自動車の開発車事業の他には、正規新車ディーラー事業や中古車事業も手がけています。2018年には創業50年を迎え、多くの特別仕様車や新型車が発表される記念すべきメモリアル・イヤーとなりました。
光岡自動車は、既存の車種の外装・内装を一度バラバラに分解し、そこに独自デザインのボディを架装、内装も大胆に作り変える、いわゆる「パイクカー」を作り出すメーカーとして知られています。特にクラシックなボディデザインには定評があり、現代のクルマの信頼性と、かつての名車たちが備えていた風格あるエクステリアを両立した製品群は、ベース車両に比べてかなり高額になってしまうものの、根強い人気を誇っています。
参考:セダンの買取専門ページです
リューギは、トヨタの2代目カローラアクシオをベースに改造を施して販売する、光岡自動車のセダンです。リューギはセダンの他に、トヨタの3代目カローラフィールダーをベースとするワゴンタイプもラインナップしています。
リューギがデビューしたのは2014年。光岡自動車のフラッグシップだった「ガリュー」の小型版「ガリュー2-04」や「ヌエラ6-02」の後継モデルとして登場しました。発売以降、ベースモデルのトヨタ・カローラアクシオの改良に準じて、細かなアップデートが重ねられています。
リューギのデザインモチーフとなったのは、ロールス・ロイスのシルヴァークラウドⅡです。堂々としたフロントグリルは、オリジナルモデルの良さを活かしつつ、光岡自動車独自のまとまりを見せる素晴らしい出来となっています。ラジエターグリル上部に輝くエンブレムは、なんと伝統工芸である「七宝焼」で製作。光岡自動車のクルマに対するこだわりが垣間見える部分ですね。
リューギでは、フロント部分とリア部分、内装を職人が一台一台製作。全ての作業は手作業で行われるため、平均作業日数は40日と、量産車と呼ぶよりは「作品」と呼んだ方がしっくりくる、非常に手の込んだ方法で製作されています。
幅広いリューギのラインナップ
少量生産車のリューギは、エンジンの選択肢こそ少ないものの、装備に応じてグレードを選択することが可能です。搭載されるエンジンは、1.5リッターの直列4気筒ガソリンエンジンと、1.5リッターエンジンと電気モーターを組み合わせるハイブリッドの2種類。特にハイブリッドについては、光岡自動車初の採用例になります。
ラインナップについては、ガソリンエンジンのベーシックグレードの「15ST」と高級グレード「15DX」が存在し、その上に「ハイブリッド」が位置します。「15ST」「15DX」の2WDに組み合わせられるトランスミッションは、CVT(自動無段階変速機)と5速マニュアル。「15ST」「15DX」の4WDと「ハイブリッド」はCVTのみの設定となっています。
リューギは、2017年にマイナーチェンジが行われ、全車に予防安全装備をパッケージ化した「Toyota Safety Sense C」を標準装備としました。これによって、安全性の大幅な向上を果たしています。また、駐車場などでのアクセルペダルを踏み間違えた際に、衝突被害の軽減に効果を発揮するインテリジェントクリアランスソナー(パーキングサポートブレーキ)を新たに設定。「ハイブリッド」と「15DX」に標準装備、「15ST」にオプション設定されました。
また、長距離走行に威力を発揮するクルーズコントロールを「ハイブリッド」に標準装備。また、スマートエントリー&スタートシステムの設定を拡大し、「ハイブリッド」に標準装備、「15DX」にオプション設定としました。
リューギのおすすめグレードは?
ではここでズバリ、セダンラボが選ぶリューギのおすすめグレードをご紹介します。2WDの「15DX」、その5速マニュアルモデルです!では、その理由について説明していきましょう。
リューギのボディサイズは、全長×全幅×全高=4510×1695×1460mmの5ナンバーに収まるコンパクトなもの。カローラアクシオとほぼ同じ寸法ながら、全長のみ150mm長くなっています。車重は「15DX」の5速マニュアルモデルが1090kg、「ハイブリッド」が1150kgとなります。
この車重の差60kgが、走行時のフィーリングに意外なほど大きな影響を及ぼします。リューギは前輪駆動のFFモデルですが、走りの軽快感は非力だけども軽量なガソリンエンジンモデルの方が上。そこにさらにCVTよりも10kg軽量なマニュアルミッションを組み合わせることで、クラシカルなフィーリングと、軽快な操縦性を両立できます。
何より、それほどパワフルではないエンジン(1.5リッターガソリンエンジンモデルで109馬力)を、のんびりマニュアルで操るセダン、というのが、現代においてはかなりの希少価値と言えるでしょう。速く、効率良く運転することだけが、「楽しいドライブ」ではありませんよね。
予防安全装備である「Toyota Safety Sense C」を全車に標準装備としたことは、ユーザーにとってとても恩恵が大きく、大変意義のあることと言えるでしょう。長く安全に運転するのであれば、必ず装備したい機能ばかりです。
「15DX」 を選んだもうひとつの理由は、金額面です。リューギには魅力的なオプションが多数用意されており、あれもこれもと付けていくとかなりの金額になってしまいます。「ハイブリッド」を選択してしまうと、あっという間に上のクラスの「ガリュー」のベース価格に届いてしまうので、ここでは「15DX」を選択しました。次の段で、その豊富なオプションについて見ていくことにしましょう。
幅広いカスタマイズで自分だけの一台を
リューギの標準ボディカラーは6色ですが、オプションでさらに30色から選択可能です。ここまで多くのボディカラーを選択できる国産車は、なかなか見当たらないのではないでしょうか。
また、リューギの性格を考えれば、本革シートはぜひ選択しておきたいところ。タン、ダークブラウン、ブラックの3色から選択可能です。その他のオプションとしては、アルミホイールセット、スペアタイヤ、リヤウォッシャー連動間欠ワイパー、シートヒーター、インテリジェントクリアランスソナー、スマートエントリー、ローダウンスプリング、メッキサイドモールセット、メッキドアミラーカバー、ナビゲーションシステムなどが用意されています。
時代や流行に流されない、凛とした存在感
光岡自動車は、まさに「コーチビルダー」と呼ぶにふさわしい、世界でも類を見ないクルマ作りを続ける稀有なメーカーです。
リューギの車名の由来は、「ある物事に対するその人なりのやり方、スタイル」を表す日本語「流儀」から取られています。流行や時代に流されず、自分の好きなものは自分で決める。自分自身の感覚や価値を信じる。別の言葉で言い換えれば、「自由である」ということ、と表現してもいいかもしれません。
周りから「頑固」「融通が効かない」と言われようと一向に構わない。そんな確固たる自分を持った、一本気のある方によく似合う硬派なセダン、光岡自動車リューギ。慎重にカスタマイズを施して、自分の愛車として迎え入れたら、長く相棒として活躍してくれることでしょう。また、「誰かの最高の相棒だった」はずの中古車との一期一会も楽しみのひとつですね。それではまた、次回の記事でお会いしましょう!
[ライター/守屋健]