ガリバーで7年間勤務された後、現在はフリーランスのライターとして活躍されている中込健太郎さんから寄稿いたただきました。
「ルノーだから」ではなく「カングーだから」
フランスのルノーと言えば、どちらかというと日本ではマイナーな存在かもしれません。ドイツ車が人気の中心、日本ではそういう傾向がやはり強いでしょう。 しかしながら、最近ではルノーもかなり販売台数を伸ばしているといいます。
そのけん引役を担っているクルマこそ「ルノーカングー」なのです。
昔から大衆車をベースにした小型商用モデル「フルゴネット」を常に用意していたルノーの小型コマーシャルカー(つまりは商用車)、それがカングーなのです。
日本では乗用車登録ですが、フランスはじめ、ヨーロッパでは完全に商用車です。
ルノーカングーの人気の秘密は?
コンパクトカールーテシアをベースにスクエアなボディと、実用的でシンプルな内装、そして長時間座っても疲れないシートといった「プロフェッショナル仕様」の数々が乗用車としても優秀である、という「極めて目的が明確な」成り立ちが人気の秘訣と言えるでしょう。
カングーは現在二代目。
フランスのモブージュ工場、カングーのみを専門に組み立てる工場で組み立てられ日本に輸入されています。
ちょっとした駐停車の際にも「最小限の力」で「しっかり停まる」
現行型はカングーとしては二代目ですが、先代はヨーロッパ市場でのみ、日産にOEM供給され「キュビスター」として販売されました。
現行型は日本以外の地域では、「メルセデスベンツ シタン」としても販売されている地域もあります。日本に輸入されているボディは3種類用意されているうちの真ん中のサイズで、本国ではオプションの両側スライドドア仕様が標準となっています。
初代からは大幅に拡大された現行型のボディサイズは、フランスの国内規格のコンテナに合わせられているもので、フォークリフトでそのまま積み下ろしが可能なラゲッジスペースと間口の大きさになっております。
グリップハンドル式のサイドブレーキは、フランスの郵便からの要望で、坂の多いヨーロッパの街でのちょっとした駐停車の際にも「最小限の力」で「しっかり停まる」ことを最優先させて作られた、機能性最優先かつ、人間工学も考えられたものになっています。
「限定車」という形で仕様を変えて様々なモデルがあります
もはやルノー好き、フランス車好きというよりも「カングーファン」が定着している感のある「超目的的(目的のはっきりとした)自動車」それがカングーなのです。人気とはいえ、グレードをたくさん用意し、設定色を多数用意したところで、1グレードあたり数千台規模で売れるようなクルマでもありません。いろいろと「限定車」という形で仕様を変えて様々なモデルが輸入されています。そんなのも含め、折角カングーを購入するなら、こんなモデルがあったらぜひ購入してほしい、というモデルをいくつかご紹介しようと思います。
ルノーカングーのオススメの年式
(現行型)カングークルール
現行型では年に一度以上ほど、『クルール』という普段カタログにないカラーのモデルが限定で輸入されるのがこのところの通例になっております。
一度にたいてい3色、一色あたり100台から200台程度。「花の色」「フランスの家庭にある台所用品」「昔のフランス車にあったようなクラシックな色」など、毎回テーマをもって3色が選ばれます。
中には通常本国でもカタログに用意していない「日本仕様のクルール専用」で設定される色などもあるほど、日本のマーケットは重要視されていると いってもいいでしょう。
新車で注文を取り始めると、毎回早々売り切れてしまう人気モデル。「ルノーが日本に持ち込んだ『風物詩』」と言ってもいいかもしれません。
見ているだけで元気になれそうな色や、フランスで暮らしているかのような気持ちになれそうな色など様々です。どの色がお勧めか?と言われると、「お好み次第では」としかお答えできませんが、もしカングーを探していて、「いいな」と思える「カングー・クルール」があったら、即購入して良いのではないでしょうか。
ただし、これは現行型カングー全体に言えることですが、ややエンジンが非力だと感じられる人もいるかもしれません。クルールにも設定がありますができればMTの方がきびきび走れるかもしれません。
(先代)カングーオーセンティックジラフォン
今のモデルより幾分小ぶりだった先代モデルまでは、長尺物を突き刺すように運搬するためにラゲッジスペース(ルーフ)の後端が跳ね上げ式に開閉する「ジラフォントップ」というのが選べました。
これはもともと選べる装備だったのですが、日本向けには普段設定されなかった装備でした。これを限定の特別仕様車にしたのが、この「オーセンティックジラフォン」という特別仕様車です。
カングーの質素なグレードとして、通常塗装されているバンパーが付くところ、黒い地のままのウレタンバンパーにして少し質素に仕上げた「オーセンティック」というグレードは追加で設定、途中からカタログモデルになりましたが、それに前述の「ジラフォントップ」を装着しました。 しかも、ヨーロッパで売られているジラフォントップは黒い非透明な樹脂素材の「ふた」なのですが、わざわざ、日本向けの特別仕様車用に「ガラス製ジラフォントップ」をあつらえるという凝りようでした。
これも台数が少ないためめったにお目にかかれないかも知れません。これのMT仕様などではかなり趣味性の高い一台というキャラクターになるかもしれません。ボディも今のより軽いということもあり、個人的にはベストチョイスと言っても過言ではないでしょう。。
他には、並行輸入で日本ではめったに見ない仕様のものなども存在します。そういうものを狙うのも楽しいかもしれません。もう一台しいてお勧めするとすれば、現行型の初期に派生車種として設定されていた「プレミアムコンパクトハッチバック」なカングーがあります。
カングービボップ
日本には普段輸入されない一番短いボディをベースに、ジラフォントップの要領でルーフ後端が外れるタイプのディタッチャブルトップのモデルがあります。少し大きなサイズのタイヤで腰高。運転席からの開放的な視界と共に抜群の個性を放ちます。後席には補助席があって、荷物を運ぶクルマというキャラクターはかなり薄れているモデルです(が、爪と言われたら驚くべき積載能力があります、カングーですので)これも台数が大変少ないのと、一時よりも相場が落ち着いてきたので、中古車で選ぶならこれからがかなりいいタイミングだと思います。
個人的には上の2台と同様かなりいい選択肢だと思うのですが、MTのみの設定でした。人におススメという点では「しにくいのが本音」AT免許という方もかなり多いもので。でも限定外してこれに乗っても楽しいかもしれません!!と思えるくらい個性的なクルマでもあります。AT免許の方、是非限定解除して、MT車乗りましょう。