みなさん、こんにちは!近年続々と3列シートを備えたSUVが登場し、新たな潮流となりつつあります。特に、今までミニバンに乗っていたユーザーにとっては、気になる存在ではないでしょうか。ミニバンの相次ぐ生産終了や、モデルチェンジの頻度の少なさなど、ミニバンの勢いが減少してきている現状も気なるところですね。
今回の記事では、3列シートSUVはミニバンの代わりになりうるのか?をテーマに、それぞれのメリット・デメリットについて比較・検証していきます。走破性、操縦性、乗降性、積載性、燃費性能や維持費、デザイン…比較対象は多岐に渡りますが、ぜひ最後までお付き合いください!
SUVの独壇場?走破性比較
SUVがSUVたる所以、それは走破性!ピックアップトラックに人が乗れるキャビンを搭載したことから始まったSUVの歴史は、強固なラダーフレームを採用したクロスカントリー4WDや、近年最も勢いのあるジャンルである「クロスオーバーSUV」などに多彩に枝分かれしていますが、その中でも「悪路の走破性」については、今も変わらず受け継がれている利点と言えるでしょう。
高い地上最低高を駆使しての未舗装路や雪道での走破性は、ミニバンやクーペ、セダンといったクルマたちにはない大きなアドバンテージです。近年のSUVの中には、街乗りを重視してそれほど高い地上最低高を設定していないモデルや、燃費を重視して2WDとしたモデルなどが存在してはいますが、それでもミニバンよりも「いざという時の悪路」に対する対応力は高いと言えるでしょう。
国産3列シートSUVの代表格の一台、マツダ・CX-8などは、その大柄な車体にふさわしい走破性と高い積載性を両立して、ミニバンに対する「刺客の筆頭」となっています。ミニバンの積載性は捨てがたいが、よりアクティブに自然の中を駆け抜けたい…そんな声に応える存在として、3列シートSUVの躍進はこれからも続きそうですね!
甲乙つけがたい?操縦性
セダンやクーペなどに比べるとドライバビリティが低いとされるミニバンやSUV。ミニバンは、空間を最大限に生かすための設計としているため、ボディの剛性確保に関してはどうしても不利となってしまいます。車体サイズいっぱいに人や荷物を載せることが最優先で、かつ乗り降りや荷物の積み下ろしなどを考慮して床は低くフラットに設計されているため、ボディ剛性を高めにくい構造となるのはやむなし、といったところ。ボディ剛性の低さが、そのままドライバビリティの低さに繋がっていると言えるでしょう。
SUVは、ラダーフレームを採用しているクロスカントリー車はもちろん、モノコックボディを持つクルマも、悪路の走行性を考慮して高いボディ剛性が確保されています。しかし、大きなボディやタイヤ、高い地上最低高の弊害で、重心位置が高く、操縦性に関してはセダンやクーペに比べてかなり不利となっています。
ミニバン、SUVともに、もともとの欠点はありつつ、その弱点をカバーするように進化してきました。特に近年はSUVの進化のスピードが非常に速く、操縦性や運動性については日進月歩の成長を遂げていると言えるでしょう。
子どもやお年寄りにとってSUVは辛い?乗降性
3列シートSUVを眺めてみましょう。大柄のボディに大きなタイヤ、高い地上最低高が、雪道や過酷な路面状況でも問題なく走破できるぞ!と主張しているように見えます。では、いよいよ乗り込んでみましょう。ドアを開けると初めは誰しもが思うはずです。「床が高い!」
SUVの地上最低高の高さは、メリットと同時にデメリットを生んでいます。悪路の走破性と引き換えに、乗降性が悪くなっているのです。お年寄りを後席に乗せることが多い方や、まだ子どもが小さい方などは、慎重に検討した方が良いかもしれません。
その点、ミニバンは低床設計がそのまま良好な乗降性に繋がっていて、小さな子どもやお年寄りでも安心して乗り込みが可能です。また、室内の天井も高いため、車内の移動も苦ではありません。SUVは室内の天井が低く、ミニバンのように車内を簡単に移動できる、ということはできません。乗降性に関しては、ミニバンの利便性の圧勝と言えるでしょう。
とはいえ、SUVはそのフロアの高さが視界の良さを生んでいるのもまた事実。ドライバーの視点が高く、遠くまで苦もなく見渡せるSUVは、一度知ってしまうとなかなか他車には戻れない魅力があります。乗降性を多少犠牲にしても、得るものは少なくないと言ってよいでしょう。
ミニバンの圧勝?積載性
SUVが意外と不利なもののひとつが、積載性です。大きな車体を持つSUVを見ると、いかにも「荷物をたくさん積めそう」と思いがちですが、ミニバンと比べると荷物を載せるスペースはかなり小さいと言わざるを得ません。ミニバンと同じくらいの全高であったとしても、SUVはフロアが高く、室内の天井高はミニバンに比べて低くなっています。その分、ラゲッジスペースも小さくなっているのです。
また、荷物を積める量だけでなく、荷物の積み下ろしのしやすさについても、ミニバンの勝利と言えるでしょう。SUVはフロアが高いため、ハッチバックドアから重い荷物を載せたり下ろしたりするのはなかなか大変です。特に毎日の買い物で使いたい女性の方は、購入前にきちんとチェックしておいた方が良いでしょう。
一方ミニバンでは、そのフロアの低さを生かして、荷物の積み下ろしは楽々です。こうして比較していくと、ミニバンがいかにスペースを有効活用することに特化して進化してきたのかがわかりますね。また、シートアレンジの多彩さも、ミニバンの方が現状有利と言えるでしょう。
荷物の積み下ろしは、クルマを毎日使っていれば必ず行う行為です。積み下ろしのしやすさは、実際に購入を検討する際には、ぜひ忘れずにチェックしてくださいね!
ハイブリッドの搭載で混戦に?燃費性能
SUVのエンジンは、以前は2〜3リッターの排気量を持つモデルが多かったものの、近年はダウンサイジング化が進み、ハイブリッドが搭載されることも一般的になりました。以前は自動車保険料もSUVの方が高額でしたが、保険料や税金に関しても、現在ではほとんど差がなくなってきています。
SUVは悪路の走破性を重視して、トルクの大きなエンジンや、4WDシステムを採用しており、その功罪で燃費についてはかなり悪いと言わざるを得ませんでした。しかし近年は、クロスオーバーSUVの「都市化」が進み、SUVと言えども燃費性能を軽視するわけにはいかなくなっています。多くの車種が2WDモデルをラインナップしたり、ハイブリッド車の設定をしたりすることで、「SUV=燃費が悪い」というイメージを払拭してきているのです。
イメージだけでなく、すでにハイブリッド化が進んでいたミニバンと実際の燃費性能を比べてみても、SUVの燃費性能は遜色ないレベルまで進化してきています。将来性を考えると、SUVが有利かもしれません。というのも、SUVは現在メーカーが力を入れているジャンルであり、新型車発表のペースが速い=進化のスピードが速いのですが、ミニバンの販売は失速気味で、進化のスピードは以前と比べて遅くなっているのです。現在はあまり差がなくても、将来的に逆転する可能性は十分にあります。
個人の好みの範囲だが、現状SUV有利?デザイン
あくまで個人の好みの範疇ですが、SUVのデザインの方がミニバンよりもかっこいい、と感じる方は少なくないようです。大きなタイヤに筋肉質でスポーティなスタイリング、高い地上最低高が、ミニバンよりも格段にアグレッシブな印象を与えるからかもしれません。
SUVは現在世界的に流行していて、自動車メーカーも極めて力を入れており、最新のデザインイディオムをいちはやく取り入れるジャンルになっています。スペース効率を突き詰めたミニバンがどうしても似通ったエクステリアにならざるを得ず、フロントマスクでなんとか個性を出そうと苦心している現状とは対照的です。
とはいえ、毎日乗る愛車ですから、流行などに流されず、自分が好きだと思うデザインのクルマをじっくり選ぶのが一番の正解です!
3列シートSUVはミニバンの代わりになりうるのか?結論!
3列シートSUVはミニバンの代わりになりうるのか?この問いには「完全な代わりにはならない」と答えましょう。
SUVとミニバンには、それぞれの良さがあり、それぞれの欠点があります。「今はミニバンに乗っているけれど、3列目はあまり使わないし、荷物もそんなに載せないし、何よりもっとアウトドアの趣味を充実させたい」という方にとっては、3列シートSUVは最高の相棒となるでしょう。それでも、家族の事情や荷物の積み下ろしのしやすさが優先、という方も少なくないはずです。ミニバンの利便性の高さは、そうした場面で光ります。ぜひじっくりと検討して、これからも楽しいカーライフを!
[ライター/守屋健]