ドライバー自身がどれだけ気を付けていても防げないのが、交通事故。もしもの時を考えると、自分自身や同乗者を守るために、できるだけ安全なクルマに乗りたいですよね。近年は「衝突時にどれだけ車中の乗員が守られるか」という観点とは別に、「どれだけ他車や歩行者、自転車などとの事故が防げるか」という観点に基づいた先進安全装備も、非常に速いスピードで進化しています。
この記事では、国土交通省とNASVA(自動車事故対策機構)の実施するJNCAP(Japan New Car Assessment Program、自動車アセスメント)の評点をもとにした、安全な国産SUVのランキングと、JNCAPの評価対象にはなっていないものの、安全性の高さで高評価を受けている輸入SUVを番外編として紹介。安全なSUVを探す際の参考にしていただけたら幸いです。
第1位 マツダ・CX-8
栄えある国産SUVの1位に輝いたのは、マツダのフラッグシップSUV、CX-8です。衝突安全性能、予防安全性能ともに、非常に高い評価を得ています。2018年の予防安全性能評価では126点中115点、新安全性能総合評価では193.9点という高得点を獲得。マツダの軽量・高剛性・安全ボディ技術「SKYACTIV-BODY」が乗員を的確に保護。後退時のペダル踏み間違え防止機能、レーン・アシスト・システム、全車速追従機能付クルーズコントロールなど、充実の先進安全装備がドライバーの負担を軽減します。3列シートがあるSUVのみならず、国産SUVの中でも有数の、安全性に優れたSUVと言えるでしょう。
第2位 スバル・フォレスター
2018年に登場したスバル・フォレスターは、それまで培ってきたスバルの先進安全装備をさらに進化させ、同時に衝突安全性能も高めた、安全性に関して非常に評価の高いモデルです。JNCAPの衝突安全性能評価は、星の数でその性能を表していて、フォレスターは最高ランクの「ファイブスター(★★★★★)」、評点は96.5点で、衝突安全性能評価大賞を獲得。また、予防安全性能も最高ランクの「ASV+++」、126点中122.3点という非常に高い評価を受けています。
アイサイト(ver. 3)と併せてアイサイト・ツーリングアシストを全車に標準装備としたことが大きなトピック。全車速追従機能付クルーズコントロール、車線中央維持機能、先行車追従操舵機能をそなえ、ドライバーの疲労を軽減します。また、スバル初となる「ドライバーモニタリングシステム」を「Advance」グレードに搭載し、ドライバーが居眠りやわき見をした際の注意喚起を行います。
第3位 マツダ・CX-5
「マツダは小さなクルマでも安全性能に差をつけない。」と公式サイトで謳われている通り、CX-8の弟分・CX-5でも非常に高い安全性が確保されています(CX-5は決して小さいクルマではありませんが…)。CX-5は、2018年度JNCAP予防安全性能評価において、最高ランク「ASV+++」を獲得。衝突安全性能評価においても最高ランク「ファイブスター賞」を獲得しています。
良好な夜間の視界を確保するアダプティブ・LED・ヘッドライトとハイ・ビーム・コントロールシステム、ヘッドアップディスプレイと連動した交通標識認識システム、全車速追従機能付クルーズコントロールシステムなどが、ドライバーの負担を減らし、安全な運転をサポートします。
第4位 ホンダ・CR-V
2018年に、日本市場に2年ぶりに復帰したホンダのミドルサイズSUV、CR-V。ホンダ独自の安全運転支援システム「Honda SENSING(ホンダ センシング)」を全車に標準装備とし、ミリ波レーダーと単眼カメラを用いた衝突軽減ブレーキ、誤発進抑制機能、歩行者事故低減ステアリング、路外逸脱抑制機能、渋滞追従機能付アダプティブ・クルーズ・コントロー、車線維持支援システム、標識認識機能、オートハイビームなどを搭載しています。
2018年度JNCAP予防安全性能評価において、最高ランク「ASV+++」、衝突安全評価でも最高ランクの「ファイブスター(★★★★★)」、評点は85.9点を獲得。予防安全だけでなく、衝突安全に関しての評価も非常に高いです。
第5位 トヨタ・CH-R
それまでのトヨタのイメージを覆す、アグレッシブで先進的なエクステリアが世界に衝撃を与えたCH-R。当初、その斬新なスタイリングには賛否両論はあったものの、日本での売れ行きは好調で、ヨーロッパでもハイブリッドモデルを中心に高い人気を誇っています。
CH-Rのメリットはもちろん、デザインだけではありません。衝突安全性能、予防安全性能ともに高い評価を得ています。JNCAPの衝突安全評価は最高ランクの「ファイブスター(★★★★★)」、評点は185.8点を獲得。予防安全評価に関しても、2017年度に79点満点中74.4点の好成績を収めています。
番外編・第1位 メルセデス・ベンツ・GLE
輸入SUVにおける先進安全装備の進化のスピードは、国産以上に速いと言っても過言ではありません。2019年に日本に上陸する4代目メルセデス・ベンツ・GLEも、もともと頑丈なボディ剛性をさらに高めた上、Sクラス譲りの先進安全装備をフルに搭載しています。
衝突時にスピーカーからノイズを意図的に流すことで聴覚への影響の提言を図るプリセーフサウンド、一定時間以上ステアリングから手が離れているのを検知すると、警告後に緩やかに完全停止するアクティブエマージェンシーストップアシスト、ウインカーを操作するだけで自動で車線変更するアクティブレーンチェンジングアシストなどを搭載するほか、日本初の機能として、対向車線を直進してくるクルマと衝突する危険がある場合に、車速10km/h以内であれば自動ブレーキが作動する「右折時対向車検知機能」も備えています。
番外編・第2位 ボルボ・XC60
登場以来、世界中のあらゆる自動車賞を総なめにしている傑作SUVが、ボルボ・XC60です。ボルボは古くから安全性を重視したクルマづくりを続けていて、特に衝突安全性能に関しては定評がありましたが、XC60では予防安全性能についても最新技術を満載しています。輸入SUVの枠にとどまらず、世界のSUVのベンチマークとなる存在と言っても過言ではないでしょう。
量産車世界初となる低速用衝突被害軽減ブレーキ「シティセーフティー」の採用や、右折時対向車検知機能、夜間も対応している大型動物検知機能、道路逸脱回避支援システム、道路逸脱事故時保護機能など16種類以上の先進安全技術を全モデルに標準装備とするほか、レベル2(部分自動運転)の自動運転車技術すら搭載しています。ドライバーのみならず、乗員全員がくつろげる落ち着いたインテリアも含め、安全なSUVを語る際には外すことのできないモデルです。
番外編・第3位 BMW・X3
BMWもボルボと並び、先進安全装備でリードしてきたメーカーです。BMWのSUVを購入する上で、多くの人がまず最初に名前を挙げるであろうX3も、衝突安全性能に加え、多くの先進予防安全装備を搭載しています。夜間でも歩行者や動物を見逃さないBMWナイトビジョン、ステアリング操作にも介入するレーン・ディパーチャー・ウォーニング、レーン・チェンジ・ウォーニング、ストップ&ゴー機能付きアクティブ・クルーズ・コントロール、狭い場所での駐車をサポートするパーク・ディスタンス・コントロール、衝突回避・被害軽減ブレーキ、前車接近警告機能などの機能を搭載。
優れた前後の重量配分も含め、あくまで「駆けぬける歓び」のために磨かれた安全性能は、ドライバーをいつでも安全で楽しいドライブへ連れていってくれることでしょう。
より安全なSUVを目指して
現代のSUVに求められているのは、荷物の積載量や走行性能、環境性能だけではありません。衝突安全性能はもちろん、ドライバーや同乗者、そして道路を行き交う歩行者、自転車、野生動物、他車に対する予防安全性能の高さに対する要求は、日ごとに高まっていると言えるでしょう。今後、ますます自動運転やコネクティッドカーなどの最新技術でクルマの安全性は高まっていくと思われますが、ドライバーの「運転時のコンディションを整える」という基本中の基本も忘れずにいたいですね。それでは、また次回の記事でお会いしましょう!
[ライター/守屋健]