RC Fは2014年10月にRCと同時に発売されたFのスポーツイメージをさらに牽引していくモデルとして登場しました。RCとは空力パーツやエンジン、足回りが異なっており、サーキット走行でも十分楽しめるモデルとなっています。レクサスの最新技術と、レーシングの経験が十分に生かされており、是非乗って体感してほしいです。
RCとの違いとして、ボディ剛性が高めるためにフロアアンダーブレースがF専用のもので、リヤパーテーションブレースも付け加えています。またサスペンションは新たに設計し、19インチの大径タイヤにすることでロール剛性、サスペンションの剛性をしっかり確保しています。このように全体的な剛性を高めることで、サーキットでも安全で安定した走りを実現させています。
エクステリア面でも一目見てRCとの違いが多々見受けられます。専用デザインなのがフロントフェンダー、前後バンパー、トランクリッド、エンジンフードのため、これらを見るとRC Fであることがすぐ分かります。またリヤフェンダーフレアがさらに大きくなっているのも目につきます。また漆黒メッキグリルモールはF専用の証ですが、実はこれが採用されたのはこのRC Fが初めてでした。スピンドルグリルには大型ブレーキ冷却ダクトを備えており、オイルクーラー開口部形状でダブルのスピンドルをフロントバンパーの両側共に付いているのもRCとの大きな違いです。
参考:レクサスの買取専門ページです
楽しむV8自然吸気エンジン
5,000ccのV8自然吸気エンジンの2UR-GSEが、何よりもRC Fの魅力です。現在ただでさえ自然吸気エンジンを搭載している車が減ってきている中、まず貴重な存在であることが伺えます。そもそも自然吸気エンジンの何が魅力なのかと言うと、たまらないエンジンサウンドに、高回転でもスムーズに気持ちよく回ること、こちらの操縦に直接的なレスポンスをしてくれることにあります。一言で言うと、5感で走りを楽しめて、思うがままの走りを実現してくれるエンジン、でしょうか。とにかくRC Fのエンジン音、マフラー音には定評がありオーナー達を満足させています。特に5000回転を越えた音は是非生で聞いて堪能してほしいものです。また十分なトルクによりアクセルを踏み込み続けなくても、どんどんと加速し滑らかな走りを見せてくれるのは面白く足も疲れにくいのは嬉しいポイントです。迫力のある走りは嬉しいけれど、普段街の中で走る分に持て余してしまうのではないかと思われる方もいるかもしれませんが、そのようなスピードをあまり出さないような場面ではアトキンソンサイクルに切り替えることで燃費が低くなります。
そんな立派なエンジンがあると車重が大きく、もったりとするのではと思われる人もいるかもしれませんが、オプションでトルクベクタリング機構を追加すると、後輪が左右トルク配分してくれることで前の重さを感じさせない軽快な走りになります。
世界初の駆動力制御システム
RC Fでは後輪駆動車としては世界で初めてTVDという駆動力制御システムを、メーカーオプション設定にすることができます。これは走行の状態に応じて後輪2つ共駆動力を電子制御することにより、コーナリングの際に理想的な動きを見せてくれるものです。日本は鋭いコーナーが多いことですし、レクサスが主軸を置いているアメリカよりも必要とし役立つ機能だと思います。是非付けてほしいオプションの一つです。
新型発表直後
現在まさに行われている2019年の1月14日から28日に開催される北米国際自動車ショーで新型のRC Fが発表されています。サーキットで走ることにさらにこだわり、さらに新たな機能や進化を遂げており、従来型より空力性能をアップさせることと、軽量化に特に重点を置いて開発されました。まず車重が従来型より20kgも削減されており、パフォーマンスアップに貢献しています。上記でRC Fの魅力の一つに「自然吸気エンジン」を挙げましたが、新型ではその自然吸気エンジンをさらに生かすためエアクリーナーの形を変更することにより、吸気性を上げました。さらにスロットル制御を改良し、エンジン出力を向上させました。さらにディファレンシャルをローギヤ化することで、スピードを出してもさらに車体を思うがままにコントロールできるようになった上に、これは普段使う上でも立派な車体でありながらも、それを感じさせない軽快な走りを見せてくれます。ローンチコントロールというエンジントルクを制御してくれる機能も追加されました。これは発進の際のタイヤ空転を防いでくれる役割があり、サーキットでの鋭くキレのあるスタートダッシュが可能となりました。またタイヤそのものも、よりサーキットでもしっかり安定し、限界領域でのコントロール性もさらにアップさせ楽しめるよう新たに開発されました。
エクステリアもサーキット走行にこだわり、さらに進化した姿となっています。コンセプトはレース育ちのスタイリングで、サイドのロッカーモールの後ろにアンダーカット形状を施すことで、リヤタイヤの周りに発生する余計な空気の流れを抑制したり、フロントバンパーコーナーにカナード形状にすることでダウンフォースをアップさせました。繰り返し行われたレースで研究された空力デバイスがスタイリングに生かされており、見た目からレーシングカーを想起させるようなエクステリアになっています。
また新たにRC Fの中でもさらに高パフォーマンスを発揮するPerformance packageというバージョンが追加されました。限界域でも思うがままに走らせることができるよう、デイトナ24時間レースやSUPER GTなどで活躍してきたRC F GT3だからこそ、もっているレース走行のノウハウが生かされて形となりました。通常モデルは従来より20kg軽くなったと言いましたが、なんとこのPerformance packageではアルミホイールを軽量のものに変更したり、カーボンセラミックブレーキ、チタンのマフラーを採用したり、エンジンフードやフロントスポイラー、ルーフ、ブレースをCFRPで製造することによりさらに50kgの70kgもの軽量化が図られています。さらに通常のRC Fに搭載されているアクティブリヤウイングよりも、ハイダウンフォースとロードラッグの性能がさらに向上させたカーボンリヤウイングが採用されており、スピードを上げる際の伸び感と高速での安定性がさらに向上しました。ただでさえ高いスペックを誇っているFですが、Performance packageは最高峰の性能を持ち合わせ、サーキット走行をしっかり楽しめる上に高速など普段の運転でもワクワクドキドキさせてくれるバージョンだと思います。
日本での発売は2019年5月で予定されています。まだもう少し先ではありますが、現在RC Fの購入を検討されている方は、発売まで待ってみるのもありかもしれません。
まとめ
これまで以上にレクサスが本気を出してサーキット走行にこだわったモデルといっても過言ではありません。意外にトランクの積載性が高かったり、決して良くはないですが昔の5,000cエンジンと比べてみたら燃費は良くなっている部分はあると思います。ささやかながら日常でも使えるように寄せている感じはあるのですが、基本的には高速を楽しみサーキットで思う存分に走らせるためだと思った方が良いです。普段使いだけでは持て余してしまう機能が多いところではあります。レクサスは高級車メーカーですがFモデルはやはり所有して満足感に浸るものではなく、是非走らせてRC Fならではの機能を使ってみることで、RC Fの良さを実感し堪能してほしいです。
[ライター/A. Oku]