コラム

かつての「火の玉ボーイ」、22年間の海外生活から復活?数奇な運命をたどったスバル・ジャスティ

初代のジャスティは1984年2月、軽自動車のスバル・レックスをベースに、ボディを拡大してBセグメントのリッターカーとして誕生しました。いわばサンバーとドミンゴに似た関係で、当時のスバルはこのようにラインナップを充実させていたのですね。エンジンは三気筒SOHCの1000cc(EF10型)で、3ドアと5ドアのハッチバックスタイル、FF仕様とパートタイム4WD仕様が用意されていました。これはレックスにレックス4WDが設定されていたからです。
いわゆるクロカンスタイルでは無い4WDとして、この頃スバルはレオーネを造っていましたので、大きくはその流れを汲んでいるのかもしれません。

「火の玉ボーイ」というキャッチフレーズ

FFと4WDの切り替えはシフトノブに備えられた赤いボタンを押すだけで、低速であれば走行中にも操作することが出来ました。1985年の秋には三気筒1200ccの9バルブエンジン(吸気2バルブ、排気1バルブの一気筒当たり3バルブ)EF12型を搭載したグレードが追加されました。これは当時「火の玉ボーイ」というキャッチフレーズでテレビCMなども打たれていました。カジュアルで実用的な大衆車の中でも、ファミリーよりもややスポーティな走りを楽しみたい若者層をターゲットにした車種という位置づけだったのでしょう。
1987年にはレックスと共に、量産車として初めてECVT式の無段変速ATを搭載します。これはCVTと電磁パウダークラッチを組み合わせたもので、燃費の向上など一定の成果は上げますが、一般的なAT車に比べて若干価格が高くなってしまいました。1988年のマイナーチェンジで外観が変わり、その後はエンジンが1200ccのみになったり、オーディオが標準装備になったり、ブレーキがアスベストを使わないタイプになったりといった細かい改良が加えられ、1994年12月に国内販売が終了になりました。
国内での販売が終了した後も、ジャスティという車名のモデルは国外専売車としては続けて販売されました。1994年にモデルチェンジし、スズキからOEMで供給されたスイフトをジャスティとして2003年まで販売することになります。2003年から2007年までは、同じくスズキのイグニスがOEMでジャスティとして販売されました。なおこの車種はシボレー・クルーズとしても売られていました。2007年から2011年までは、ダイハツ工業のブーンがOEMでジャスティとして売られていました。
参考:スバルの買取専門ページです
そして2016年11月9日。初代の販売終了から約22年、国外からもジャスティの名前が消えて5年後に、二代目スバル・ジャスティが国内デビューしました。ダイハツ工業からのOEMで、基本はダイハツ・トールと共通のモデルということになります。5ドアのトールワゴンで、3.7m×1.67mのコンパクトなボディ、乗車定員5名、使い勝手のいいファミリーカーです。エンジンは996cc直列三気筒DOHC12バルブの1KR-FE型とターボ付きの1KR-VET型の二つが用意され、それぞれ69PS/6000rpm、9.4kgf/4400rpmと98ps/6000rpm、14.3kgf/2400-4000rpmとなっています。ミッションはCVT、4WDも選べますがこれはNAエンジンのみで、現在のところターボの4WDは設定されていません。
参考:スバルの買取専門ページです

全車種に衝突被害軽減ブレーキ「スマートアシスト2」が標準装備

全車種に衝突被害軽減ブレーキ「スマートアシスト2」が標準装備されていました。これはレーザーレーダーと単眼カメラを組み合わせて搭載していて、衝突警報機能、衝突回避支援ブレーキ機能(50km/h以下で動作、ただし対象は車両のみ)、車線逸脱警報機能、誤発進抑制機能(前後)、先行車発進お知らせ機能を併せて実現するものです。2018年11月からはスマートアシスト3に進化しています。カメラがステレオで装備されたことにより、これまでに加えて衝突回避支援ブレーキの作動範囲が60km/hまでになり、さらに車両だけでは無く人にも反応するようになりました。また、新しく自動ハイビーム機能も装備されました。
スバル・ジャスティは、初代と二代目では「名前が同じ」というだけで、ほぼ全く違うクルマです。サイズや排気量のカテゴリーは同じですが、姿形も違えば製造メーカーも違います。そもそも年代が二十年以上違うのですから、この辺りは当然なんですが。中古車市場には、初代ジャスティはほぼ出てきません。元々が比較的リーズナブルでオーソドックスな車種だったこともあり、四半世紀を経た今では現存する個体もほとんど無く、もしあったとしてもおそらく商品として成立しない(いわゆる値段が付かない)と思われます。ただし、もしも奇跡的にきれいな個体が残っていれば、近頃の国産ネオ・クラシック人気の高まりを受けて、コレクターズアイテムとしての需要はあるかもしれません。

二代目に関しては、これとは全く逆の状況

一方で二代目に関しては、これとは全く逆の状況です。発売されたのが2016年の終わり頃なので、(この記事を書いている2019年9月末時点で)まだ三年も経っていません。つまり初期のものでも初回の検査がまだ残っている状態です。なので中古車市場でもまだそれほどタマ数が多いとは言えず、価格もこなれてなく、ほぼ100万円を超えるものがほとんどです。ただし、今年の暮れ頃からは新車購入されたものが順に初回の車検を迎え始めますので、中古市場で見かける機会も少しは増えるかもしれません。
昭和59年に生まれ、途中22年間も海外に暮らし、平成の末に帰国。令和の時代を生きてゆくスバル・ジャスティ。扱いやすいサイズ、使い勝手のいいシートアレンジ、燃費のいい1リッターエンジン、そして先進の安全装備スマートアシスト3。現代のファミリー・カーとして過不足無く、実にジャストな選択かもしれません。
[ライター/小嶋享]

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ユーズトカーラボ 編集部
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