それでは今週もさっそく「おすすめSUVのおすすめグレード」に関する研究を進めてまいりましょう。今週のお題は2014年8月に、その誕生30周年を記念して2015年6月30日まで期間限定で日本にて復活した「トヨタ ランドクルーザー70」です。
世界各地で活躍した硬派クロカン4WD
そもそものランドクルーザー70は、それまでのランドクルーザー40系に代わるモデルとして1984年11月に登場したヘビーデューティなクロカン4WD。圧倒的なまでの悪路走破性と耐久性により、世界各地で高評価を得たモデルです。
主要市場は中近東やアフリカ、東アジア/オセアニアなどで、2013年にはこれまでの記録を更新する7万6287台の年間販売台数を達成しました。
日本では2004年8月に販売終了となっていましたが、冒頭のとおり2014年8月、約10年ぶりに再販されることとなったのです。
大人気を博した日本再販版ランクル70
再発売されたのはセミロングボディの4ドアバンと、スーパーロングボディとなるダブルキャブ ピックアップトラックの2種類。ともに商用の1ナンバー登録です。
ランクル70の車体基本構造は大きな変更なしに30年間受け継がれましたが、パワートレインは大きく変わっています。エンジンは最高出力231psを発生するハイオク指定の4L V6 DOHCとなり、トランスミッションは5MTです。
駆動方式は副変速機付きのパートタイム4WDで、トランスファーレバーを操作することで「H2」「H4」「L4」の3種類の走行モードを使い分けます。オプションで前軸用と後軸用の電動デフロックを採用し、さらには車両の力だけでは脱出できない場合に備えて、電動ウインチも用意されています。
この日本再発版ランドクルーザー70は大人気となり、2014年8月25日に日本での再販売が発表されると、9月24日時点で受注台数は約3600台に到達。「200台」という月販目標台数の約18倍にも達してしまったのです。ちなみに受注台数の内訳はバンが約2700台で、ピックアップが約900台でした。
見た目から想像する以上に乗り味はフラット
復活版ランクル70の乗り味は「意外としなやか」といった感じです。もちろん、軟弱な都会派SUVではなく本格オフローダーですので「快適そのもの」という乗り心地では決してありません。しかし路面からのアタリや横方向の揺れは依然よりも確実に抑えられていて、シートのクッションが低反発ウレタンになったこともあって、ほとんどの人が「かなりフラットな乗り味」と感じることでしょう。
6.6km/Lという燃費(JC08モード)や、1ナンバーゆえの低額な自動車税と引き換えにやってくる毎年の車検は、正直この車の難点です。しかしこのしなやかな乗り味と意外な日常性、そして言わずもがなの悪路走破性、さらには伝統に基づくシブすぎるビジュアルと雰囲気から考えると、「それでも欲しい……」と思ってしまう人は少なくないはずです。
現在の中古車相場は280万~470万円
そんな再販版ランドクルーザー70は、限定販売期間がすでに終了していますので、当然ながら今後は中古車を探すほかありません。
2019年3月半ば現在、カーセンサーnetでの掲載台数は全国で68台。再販時の新車価格はバンが360万円でピックアップトラックが350万円でしたが、現在の中古車相場はおおむね以下のとおりです。
●再販版ランクル70(2014年式~):280万~470万円
上下にそこそこ幅広い相場を形成していますが、ボリュームゾーンは350万円前後といったところ。もちろんオプション装備等が付いたうえでの価格だからというのもありますが、新車時価格からほとんど値落ちしていません。ランドクルーザー70の根強い人気をあらためて確認することができます。
現代のSUVとは異なる乗り味が自分に合っているか?
購入時の注意点としては「最終的には必ず試乗してみること」ということに尽きます。
クラシカルな雰囲気とビジュアルが魅力のランドクルーザー70ですが、前述のとおり中身も、昔から基本部分は変わらないクラシカルなクロカン4WDです。それゆえ、現代の誰でも普通に乗れるSUVと違って乗り味にはクセもありますし、人によっては「使い勝手が悪い」と感じる箇所もあるかもしれません。
それゆえ、販売店の展示場内で「エンジンをかけてみるだけ」ではなく、必ずある程度の距離は試乗してみることで、自分との「相性」を確認してみる作業が大切となるのです。
そこさえクリアできたならば、再販版ランクル70はまだまだ新しい年式の車ですので、「信頼できる専門店から買う」という条件付きではありますが、特に神経質になるべき部分は少ないはずです。
まずはとにかく自分との相性、すなわち「本当にこの乗り味が自分の趣味に合っているのか?」ということをしっかり確認してください。
少々のご参考になったならば幸いです。それではまた来週!
[ライター/伊達軍曹]