コラム

4ドアセダンの皮を被ったスポーツカー!スバルのモータースポーツへの情熱をその身に宿す「WRX」その唯一無二の個性に迫る

今回は、スバルが誇るスポーツセダン、WRXの魅力に迫りたいと思います。長年の良きライバルだった三菱ランサー・エボリューションが生産を終了した今、国産では唯一の四輪駆動・ターボエンジン搭載のスポーツモデルになってしまいました。
世界ラリー選手権へのワークス参戦は終了しましたが、その後も変わらずに世界中のモータースポーツで活躍し続けるWRX。今、新車で購入できる最もエキサイティングな国産の一台であることは間違いありません。

モータースポーツへの情熱が生んだWRX


WRXのネーミングの由来は「World Rally X」から。1993年8月、フィンランドラリーでWRC(世界ラリー選手権)にデビューしたスバルのワークスマシン・インプレッサWRXは、初参戦でいきなり2位表彰台を獲得し、世界をあっと驚かせました。以降2008年までWRCに参戦し続け、3回のマニュファクチャラーズタイトルを獲得、さらに3人のドライバーズチャンピオンを生み出しました。
また、ラリーのみならず、オンロードでの競技でも世界各地で活躍。特に著名なのは「ニュルブルクリンク24時間レース」への参戦です。2011年以降クラス優勝は5回を記録。世界一過酷と言われるニュルブルクリンクでのレース活動を通じて、その経験を市販車にフィードバックし続けています。
ニュルブルクリンクは天候が不安定で、かつ1周20kmにも及ぶサーキットの各所はドライ、ウェット、スノーとコンディションも一定ではありません。市販車のテストコースとしても使用しつつ、レースというさらに過酷な環境にクルマを持ち込むことで、WRXは細かい改良を積み重ねてきました。
参考:スバルの「WRX」買取専門ページ!
2014年にインプレッサの名前が取れて単に「WRX」になった後も、「ニュルブルクリンク24時間レース」への参戦は続けられています。また、世界中のプライベーターの愛車として、少し変わったところではWRCにおけるトヨタとシトロエンのレッキ車(ラリーで使われる道路を事前に試走する際に使用するクルマ)として活躍しています。

似て非なる二つのWRX、S4とSTI


2018年12月現在、WRXの名前を冠するクルマは大きく分けて2種類あります。「STI」と「S4」です。この2車には具体的にどんな違いがあるのでしょうか?
一つ目はエンジン。どちらも約2リッターの水平対向4気筒エンジンではありますが、実はルーツが全く異なります。「S4」に搭載されるのはFA20型の直噴ターボで、ストロークは86mmとどちらかといえば低回転からのトルク重視タイプ。「STI」に搭載されるのは20年に渡って活躍してきた伝統のエンジン・EJ20型で、ストロークは75mmとより高回転型の特性となっています。特に、モータースポーツファンはこのEJ20エンジンが載っているというだけで、このクルマを買う理由としては十分かもしれませんね!
二つ目は、先進安全装備「アイサイト」の有無です。「STI」はモータースポーツ参戦のベースモデルとしての側面もあるため、「アイサイト」はオプションでも用意されていません。ただし、後側方警戒支援システムやハイビームアシストなどをパッケージした「アドバンスドセイフティパッケージ」がオプションで設定されているので、決して安全への配慮を忘れているわけではありません。また夜間の安全性を高めるステアリング連動ヘッドランプは全車に装備されています。
三つ目は、トランスミッションです。それぞれ「S4」はCVTのみ、「STI」は6速マニュアルミッションのみが選択でき、パーキングブレーキも「S4」は電動式、「STI」は通常のコンベンショナルなハンドブレーキ式となっています。ハンドブレーキでドリフトをしたい!という方は「STI」が唯一の選択肢になりますね。

WRXに乗るならこのグレード!


さてここで、セダンラボがおすすめするグレードを発表します。「WRX STI Type-S」オプションコードIX(アドバンスドセイフティパッケージ、RECAROシートを装備。大型リアスポイラーは任意)です。では早速その理由を見ていきましょう。
やはりWRXに乗るのであれば、マニュアルで意のままに操れる「STI」、さらにビルシュタイン製ダンパーや19インチホイールが装備され、オプションでRECAROシートを選択できる「Type-S」がおすすめです。スバルがこれまで培ってきたスポーツテクノロジーを最もダイレクトに感じられるクルマとして、そして世界でも他に類を見ない「水平対向エンジン&四輪駆動&4ドアセダン」のスポーツカーとして、今乗っておくべきクルマの一台と言えるでしょう。
「標準装備のシートの品質が向上した」として、一度は装備から外れたRECARO製シートでしたが、復活を望む声が大きく、現在はオプション装備として再び選べるようになりました。RECARO社と共同で開発されたシートは、快適性とサポート性を両立しており、かつ電動での調節機能も備えた高品位なものとなっています。
「STI」に「アイサイト」は装備できませんが、「アドバンスドセイフティパッケージ」は、今後長く安全運転を続けるためにはぜひ装備しておきたいシステムです。WRXは運転席周辺の視界に優れたクルマですが、こうしたシステムがさらにユーザーの負担を減らしてくれることは間違いありません。

脈々と受け継がれるメカニズム


左右の重量配分が均等、かつ低重心になる水平対向エンジン。スバル以外では日本車で採用しているメーカーはなく、海外を見まわしてみても、現在水平対向エンジンを生産しているのはポルシェくらいです。振動が少ない、高回転に強い、バランサーウェイトが不要など、スポーツカー用エンジンとしての基本性能の折り紙つきですが、一方で潤滑系の問題が発生しやすい、車体の設計に制約が大きいなどの短所があります。
しかし、スバルはこの水平対向エンジンの可能性を信じ、長年にわたって熟成を続けてきました。「WRX STI」に搭載されているEJ20型はまさに「珠玉」という表現が似合う生粋のスポーツユニットで、20年に渡ってレースの現場で鍛えられてきました。ショートストロークの高回転型ユニットではありますが、一方で豊かなトルクによる柔軟性も兼ね備えています。422Nmもの最大トルク、その約90パーセントを2,400回転で発生するため、発進や加速時に気を使うことなく、ゆったりと流して走ることも得意という、懐の深いパワーユニットとなっています。最高出力は308psと強力で、公道で使い切るのは難しいほどのパワーを誇ります。
強力なエンジンの力を地面に伝達するのが、これまた非常に凝った四輪駆動システム。マルチモードドライバーズコントロールセンターデフ方式と呼ばれる電子制御式で、様々な路面状況で最適な回頭性を実現しています。また、フロントとリアに装備されたLSD、凝った構造のサスペンション、さらに大径化したブレーキシステムなど、走りに関する装備はとにかく贅沢な構成となっています。

日本の至宝といっても過言ではない


これだけのスペック、乗り心地、コントロール性能を備えたクルマが、400万円(プラスα)で手に入る、というのは、まさに奇跡といってよいでしょう。長年スバルが培ってきた全てがWRXに注がれているといっても過言ではありません。
さらにこのクルマは、日常でも気軽に乗れる柔軟性をも備えています。セダンなので後席に人を載せることも可能ですし、もちろんトランクだってあります。「S4」のCVTはもちろん、「STI」の6速マニュアルでも、その豊かなトルクのおかげで低速域でも神経質さはありません。燃費こそあまりよくはありませんですが…。
でも、それは大きな問題ではありません。WRXの本質は、4ドアセダンとしても使える「スポーツカー」なのです。環境問題対策が叫ばれる現在、いつまでそんなクルマが新車で買えるかわかりませんが、特にヨーロッパの状況を見ていると、あまり多くの時間は残されていないでしょう。貴重な4ドアスポーツカー、ぜひこの機会に試してみませんか?それではまた次回、お会いしましょう!
[ライター/守屋健]

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