スバル・サンバーには、都市伝説と言われたスペシャルサンバーが存在します。ここでは、惜しまれながら生産終了となったスバル・サンバーの都市伝説が生まれた理由やリセールバリューについてご紹介させていただきます。
赤帽仕様の都市伝説は本当なのか?
出典:ウィキメディア
皆様は、「赤帽仕様は特殊なチューニングを受けたスペシャルサンバーらしい」という都市伝説をご存知でしょうか?この都市伝説は、高速道路で赤帽サンバーが一般車を一気に抜き去る姿から生まれたと言われています。この話を聞いて「どうせ赤帽の運ちゃんが頑張ってアクセルを踏んでいるだけでしょう?」と思う方も多いかもしれません。しかし、赤帽仕様の都市伝説は本当だったのです。しかも、スバルが赤帽のために制作したメーカーチューンのスペシャルサンバーだったのです。
赤帽仕様には、数多くの変更点が施されておりますが、やはり大きく違うのはエンジンです。赤いヘッドカバーが特徴の専用エンジンとなっており、もともと4気筒ならではのスムーズな吹け上がりと、マルチポイント・インジェクションの採用などにより低燃費で使い易さが売りのエンジンを、さらに白金プラグの採用や各部のフリクションの低減などにより、燃費性能はもちろんこと、耐久性・信頼性・出力特性の向上が図られています。
また、主な赤帽仕様の変更点は以下の通りです。
・赤帽専用4気筒電子制御燃料噴射エンジン
・フロントベンチレーテッドディスクブレーキ
・収納式ハンドブレーキレバー
・2段階開度リヤゲート(パネルバン)
・専用電源用ハーネス
・高照度ルームランプ(トラック・パネルバン)
・専用デザイン、強化レザー表皮の専用シート
・オーバーヘッドシェルフ(強化タイプ)
・リモコンキー
・エアダム一体式フロントカラードバンパー
・複合曲面ミラー&広角ミラー
・デジタルツイントリップメーター
・アームレスト一体式ドアポケット(運転席側)
これらは全国の赤帽組合員から寄せられた意見を参考に、採用された装備となりますが、その一部がカタログモデルのスバルサンバーにも採用されました。
赤帽仕様は、今現在のダイハツのOEMとなってしまったサンバーでも継続されておりますが、スバル車だから実現出来た部分も多く、あの東名や関越で一般車を抜き去り疾走する姿はもう見ることが出来ないかもしれません。
かつて「農道のポルシェ」と呼ばれた
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スバルサンバーは、「フォルクワーゲン・タイプⅠ」や「ルノー・4CV」を彷彿とさせる卵型のデザインの採用で長き渡り軽自動車販売台数ナンバーワンの座に就いていたスバル・360をベースに開発されました。
駆動方式は同じくRR方式となりますが、積載量を確保するためにキャブオーバーレイアウトが採用されました。サスペンションはスバル独自の技術で設計された横置きトーションバースプリングとトレーリングアームを組み合わせた4輪独立懸架式となり、2012年に50年の歴史に幕を閉じるまで、抜群の乗り心地と走行性能が高い評価を得ておりました。そして、当時の軽トラックでは珍しかったRRの駆動方式と4輪独立懸架式による走りのよさから「農道のポルシェ」と呼ばれたのです。
また、ポルシェと親戚関係であるフォルクスワーゲンからは、タイプ1の派生車で商用バンのタイプ2(ワーゲンバス)がラインナップされており、スバル・360から続く歴史も含めて、非常に近いものを感じずにはいられません。そのせいか、サンバーの定番カスタムである「ワーゲンバス仕様」は、違和感なく街に溶け込んでしまいます。
スバル・サンバーのリセールバリューは?
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ここでは、OEM車ではない2012年までのスバルサンバーのリセールバリューについてご紹介させていただきます。もともと、このクラスはとくにワゴンがリセールバリューが高い傾向にありますが、その中でもスバルサンバーのリセールバリューは際立って高いと言えます。具体的には、2009年~2012年の最終モデルが4ナンバーの商用バンにもかかわらず、新車価格以上で取引されている個体が多数存在します。
参考:スバルの買取専門ページです
もちろん、スーパーチャージャー付き・5速・4WDと言った条件はありますが、仮に同じ条件を他社の軽バンに当てはめたとしても、倍近い中古車価格で取引されておりますので、いかにリセールバリューが高いかがご理解いただけるはずです。そして、中古車価格の高騰は惜しまれながら50年の歴史に幕を閉じたことが起因していることは間違いなく、長らく人々に愛されたある意味でスバルを代表するモデルと言えるでしょう。
[ライター/スバラボ編集部]