日刊カーセンサーでお馴染みの伊達軍曹さんに2シーターのおすすめ輸入車の選び方について記事を書いて頂きました。
伊達軍曹さんは自身でもBMW318isクーペと320i、そして厳密にいえばBMWではないがアルピナB3Sにのっていた経験があるそうです。
2シーターのおすすめ輸入車の選び方
限られたスペースに「なるべく多くのもの」を詰め込みたくなるのが人情ではある。筆者も仮に一軒家を建立するとしたら、どうせ大して広い土地など用意できないはずだから、違法スレスレのラインまで建ぺい率を高めてしまいたくなるだろう。
しかしそれは、どうにもこうにも貧乏くさい行為である。
筆者が仮に名門の生まれであったなら決して違法スレスレの建ぺい率など求めず、建物スペースはそれなりにとどめて小さな庭も用意し、そこに花やハーブなどを植えるはずだ。ギリギリの効率を求めないことすなわち金持ちの証である。優雅な生活の現れである。
それと同様に車のシート数も、少なければ少ないほど優雅である。限られた5ナンバースペースに3列のシートを打ち込もうとすると、どうしても貧乏くささや所帯じみた感じになってしまうが、2列のとどめればずいぶんと優雅になる。そして1列のみ、つまり「2シーター」にすれば、その優雅さは極限レベルへと達する。これが、2シーターの車に多くの者が憧れる基本的なメカニズムだ。優雅さへのあこがれなのである。
しかし人間の実際の生活というのは、筆者を含め「優雅」とは真逆のところにあったりもする。土地があれば前述のとおりギリギリの建ぺい率を求めてしまうし、車を買うならできれば3列、最低でも2列のシートは求めたくなる。その気持ちはよくわかる。
しかしだからこそ、「2シーター車に乗る」ということが許される人生のタイミングにある人は、ぜひとも優雅なる2シーター車に乗っていただきたいと思うのだ。それは高級2シーターであるに越したことはないが、なに、別にフツーの安めのやつでいいんだよ。2シーターであるというだけで十分優雅なのだから!
2シーター車に乗ることが許される人生のタイミングとは?
さて、「2シーター車に乗ることが許される人生のタイミング」というのは、人にとっていつぐらいのことであるだろうか? それは言うまでもなく「人生前期」と「人生後期」だろう。具体的には、自分自身のほかには特に責任を取るべき相手もいない20代あたりの頃と、責任を取るべき相手、つまり子供や配偶者などが独立を果たした「ミドル」や「シニア」と呼ばれるようになった頃合いだ。
20代のあなたが2シーターのおすすめ輸入車の選ぶなら
20代で独身のあなたが2シーター輸入車を買うならば、筆者としてのオススメは「比較的安いやつ」だ。
最近では若いからといってお金がないとも限らず、もしかしたら40代である筆者の何倍も稼いでいるあなたかもしれないが、そうだとしても「比較的安いやつ」で良いのではないかと思う。
なぜならば、若いということはそれだけで本当に価値があることゆえ(あなたも40代になってみればそれがわかる)、自分の肉体と精神以外の物質的なものは、ある意味なんだっていいからだ。何に乗っても楽しめるし、何に乗っても大いに勉強になる。だからわざわざ高い2シーター輸入車を買うまでもない……ということだ。
具体的な価格は100万円台ぐらいだろうか。そのあたりの予算で狙える2シーター輸入車で、なおかつ20代の若い善男善女に似合いそうなモデルといえば、まずはミニ・クーペか。
21世紀的でありながらどこかレトロなそのデザインがステキであり、動力性能や運動性能もそれなり以上に活発。ファッションも込みで楽しんでほしい1台だ。車両価格は100万円台の後半が中心である。
「100万円後半はちょっと高い!」とお嘆きの貧乏青年(?)にオススメしたいのがBMWのZ3だ。
価格はおおむね80万円台が中心。それならさほどの無理なく買えるはずだ。もはや若干古い年代の車だが、それだけに現代の車と比べて何かとダイレクト感が強いため、運転は非常に楽しい。そしてのちのZ4と比べるとかなりレトロ系のデザインであるため、これまた最近の若人の趣味嗜好にも合うはずだ。ATとMTがあるが、ぜひMTで堪能してほしい車である。
ミドル・シニア世代の2シーターのオススメ輸入車
一方の「ミドル」「シニア」と呼ばれる年代のあなたには、もう少々高めのやつをオススメしたい。安めの車が悪いというわけではないのだが、年をとった人間が安価なモノを身につけていると、必要以上にみすぼらしく見えてしまうものだ。
これは、筆者も「人生後半」といえる年代であるため痛感している。我々おっさんは、みずみずしい若者と違って「それなりにいいモノ」を見につけないとどうにもサマにならないのだ。これは悲しいかな事実である。
ということで、ミドル&シニアにオススメとなる2シーター輸入車は、まぁいろいろあるのだが、さしあたっては現行BMW Z4か。
作りの良さや走りの充実度は言わずもがなのBMWクオリティゆえ、最高である。一番のポイントは「あなたに似合う」ということだ。 若造がこれに乗るとどうしてもチャラく見えるというか、ボンボンが親の車を借りてきたようにしか見えないが、微妙に白髪まじりとなったあなたにこそ、こういった類の車は似合うのだ。
ソフトトップのオープンカーと違って鉄製のルーフを閉めればほとんどクーペと同じなので、オープンカーであるという点に臆さず、ぜひ積極的に選択していただきたい。
もう1台、、ミドル&シニア向けの2シーター案件を選ぶとすれば、ポルシェボクスターしかあるまい。
初代はさすがに少々古いので、オススメは2代目だ。ミッドシップレイアウトゆえ同門の911以上にハンドリング性能は優秀であり、それでいてのんびりめにクルーズする場合でも結構良好な乗り心地を発揮してくれる。
そして何より「ポルシェ」というブランド性。年輪を重ねたあなただからこそ似合うはずの、一生モノである。若造には出せないシブみを発揮しつつ、粋に乗り回してみてはどうだろうか。もしかしたらモテるかもしれないよ。や、その辺は人によるのでわかりませんけどね……。
いずれにせよ、「2シーター車に乗れる」という人生の好機は、仮に人生80年としても、そう長いものではない。ぜひ好機を逃さず、「悔いのない人生」を送っていただきたい。筆者が言いたいことはそれに尽きる。