「今になって、こんなクルマの人気が上昇してくるの?」日本の中古車市場をチェックしていると、時折そんなクルマに出くわすことがあります。それまで人気がなく、販売不振によって生産終了となったクルマがなんらかのきっかけで突如脚光を浴びる。海外での中古車人気が急上昇して、国内の中古販売価格も上昇する…さまざまなケースはありますが、そうして中古車価格が上がり出す現象は、近年時々見られるようになってきました。
今回紹介するホンダ・クロスロードもそんなクルマのひとつです。販売不振により、発売開始からたった3年でカタログ落ち。しかし2020年現在、10万キロ超えの個体にもそれなりの高値がつく、隠れた人気車両となっています。この記事では、ホンダ・クロスロードの魅力や売り時・査定価格や中古車価格について、改めて紹介していきたいと思います。
ホンダ・クロスロードの特徴
ホンダ・クロスロードの初代モデルの登場は古く、1993年のこと。当時はRVブームに世間が湧いており、ホンダは早急にRVをラインナップに加えることを求められていました。そこで、提携関係にあったローバー・グループより、ランドローバー・ディスカバリーのOEM供給を受けて販売を開始します。また、同時期にいすゞ自動車からのOEM供給を受け、ジャズとホライゾンの販売も開始。急ごしらえながら、ホンダのRVラインナップが完成します。
初代クロスロードは上記の出自通り、バッジを取り替えただけのランドローバー・ディスカバリーであり、RVというよりはむしろ本格的なクロスカントリー4WD車でした。1998年12月に完売につき販売終了。以降2代目モデルの登場までカタログから姿を消すことになります。
クロスロードが復活し、2代目モデルの販売が開始されるのは2007年2月22日から。初代モデルのようなOEM供給ではなく、歴とした自社開発モデルとして登場します。ベースとなったのは2代目ストリーム。3代目CR-VがプレミアムSUVクラスにシフトしてしまったのをきっかけに、それまでの初代・2代目ユーザーに対する需要を埋めるべく開発されました。
特徴的なのはそのディメンション。全長4,285mm×全幅1,755mm×全高1,670mmというボディサイズは、全長は短く全幅は広い、他車にはあまり輸入車的サイズ感となっています。一方でスクエアなボディデザインは、短い全長からは想像もつかない室内空間を確保。なんと3列シートの7人乗りレイアウトとなっています。
今でこそ少しずつ市民権を得てきた7人乗り・3列シートのクロスオーバーSUVですが、当時は非常に珍しく、かつこのコンパクトなサイズで実現しているクルマは他にありませんでした。しかし時代がまだ追いついていなかったのか、月販売目標の3000台は販売から3ヶ月後には達成できなくなり、早々に月数百台レベルの販売台数に落ち込んでしまいます。結局、販売開始からわずか約3年半の2010年8月に販売を終了。カタログから姿を消すことになるのです。
搭載されているエンジンは1.8リッターと2.0リッターの直列4気筒SOHCで、1.8リッターは140ps、2.0リッターは150psの最高出力をそれぞれ発生。用意された駆動方式はFFと4WDで、トランスミッションは5速オートマチックのみの設定でした。
ホンダ・クロスロードの中古市場での人気
ここからは、2代目クロスロードの中古車情報について解説していきます。
3列シートを備えたコンパクトなクロスオーバーSUVであることや、そして近年のクルマではあまりお目にかかれない、クリーンでスクエアかつシンプルなエクステリアデザイン、立体的で個性的な造形のコクピットなどが再評価されて、クロスロードの中古車価格は次第に上昇。中古車市場ではわずか200台弱しか流通していないという希少性も手伝って、最終型でも10年落ち近い年月が経っているにも関わらず、クロスロードの中古車価格では現在でも一定の値段を維持し続けています。
最高額の個体の価格は約180万円、最も低価格の個体でも約25万円、全年式・全グレードの平均価格は約72万円と、年式や走行距離を考慮するともはやプレミアム価格がついているとも言える相場となっています。
デザインや走行性能が現在でも色あせていないことや、多目的に使用できる優れた積載性能が、現在のSUVブームの到来で再び脚光を浴びていると言えそうです。登場が10年遅ければ、ホンダのSUVを代表する人気車種になっていたかもしれませんね。
ホンダ・クロスロードの買取相場は
クロスロードのリセールバリューは、10年落ち・10万キロ走行・無事故車で調べたところ、それぞれのグレードで5.2〜17.3パーセントとかなりの幅があります。しかも「このグレードが強い」「この色、駆動方式が強い」といった規則性は見つからず、車両の状態によって判断されているとみてよいでしょう。
走行距離が少なく、フルオリジナルに近い個体には、驚きの高額査定がつくことも考えられます。走行距離が7万キロを超えている個体に100万円のプライスが掲げられている場合もあるので、クロスロードの人気は現時点でかなり高いと言えるでしょう。
参考:SUV/RV車/クロカンの買取専門ページです
ホンダ・クロスロードの売り時とは
こうした高値傾向がいつまで続くかははっきりと言えませんから「売り時は今」というのが精一杯…というとあまりに無責任ですから、もう少し詳しく解説していきましょう。
現在の高値傾向がいつまで続くかはわからないということと、距離があまり伸びておらず、オリジナルコンディションがよく保たれた個体の評価が高いという2点を考慮すると、クロスロードの売却についてはあまり時期を引き伸ばさず、早めに売却した方がよい結果を得られる可能性があります。
また、売却の時期については、夏休み前の売却がおすすめです。というのも、夏休み前はレジャー目的でSUVを購入する方が増える時期で、買取についても高い評価が望める季節。SUV全般に共通することではありますが、もちろんクロスロードについても例外ではありません。
ホンダ・クロスロードを高く買い取ってもらうためには
クロスロードを少しでも高値で売却しようと考えた場合にポイントなるのは、ショップの選択です。クロスロードを数多く取り扱い、その店に多くのクロスロード・ファンが集まっているような、そんなショップをじっくりと探しましょう。希少車の扱いに精通したSUV専門店もおすすめです。こうしたお店なら、現在のクロスロードがどれだけの価値があるかを理解し、走行距離や車両の状態を正しく判断してくれる可能性が高まります。
反対にディーラーで下取りに出すことや、クロスロードの扱いがほとんどないようなSUV専門店での買取はおすすめできません。現在のクロスロードの相場を理解せず「ただの10年落ちの中古車」としてしか見てもらえないからです。
クロスロードの高価買取の秘訣は、ショップ選びにつきます。はやる気持ちを一旦落ち着けて、焦らずじっくりと、納得のいくまでショップ選びをしてみてください。
まとめ
登場が早すぎたクロスオーバーSUV、ホンダ・クロスロードについて紹介してきました。年々拡大していくクルマのサイズに不満を持っている方にとって、このクルマの持つ「コンパクトだけど7人乗り」というパッケージングは非常に魅力的です。とはいえ、3列目のシートは小さく、かなりミニマムなサイズ感なので、常用するには少し無理があるのですが、非常用としてこの「あと2席ある」ことに対して安心感を覚える人は多いでしょう。
中古車市場でも人気の一台ですが、今後の相場がどう推移していくかは不透明です。これから乗りたいという人も、クロスロードを売りたいという方も、ぜひ後悔のない選択を!
[ライター/守屋健]