それでは今週もさっそく「おすすめミニバンのおすすめグレード」に関する研究を進めてまいりましょう。今週のお題は。2011年10月かた2019年4月まで販売された三菱の5ナンバーサイズミニバン「デリカD:3」です。
日産NV200バネットのOEM供給バージョン
三菱デリカD:3は「デリカD:5」と「デリカD:2」の中間に位置する5ナンバーサイズミニバンで、ベースは「日産NV200バネット」。つまりデリカD:3は日産自動車から三菱自動車へのOEM供給モデルです。
ラインナップは5人乗りの「M」および7人乗り「G」の2グレードで、両グレードともパワートレインは1.6Lガソリンエンジン+4速AT。駆動方式はFFのみです。
オールアルミ製となる1.6Lエンジンの最高出力は109ps/6000rpmで、最大トルクは15.5kg-m/4400rpm。JC08モード燃費は「G」が12.8km/Lで「M」が13.2km/Lです。
内外装は、フロントグリルやバッジ類は三菱車専用のものとなっていますが、基本デザインはベース車である日産NV200バネットと共通。ボディサイズは全長4400mm×全幅1695mm×全高1850mmとなり、後部ドアは左右ともスライド式。リアハッチは跳ね上げ式となっています。
2列目シートは「G」「M」ともに3人掛けのベンチタイプで、6:4の2分割でリクライニング&格納が可能。さらに前方に折り畳むことで、荷室を拡大することもできます。
また「G」のみに標準設定される3列目シートは2人掛けのベンチタイプで、5:5の2分割式。2列目と違ってリクライニング機能はなく、格納方式も「横跳ね上げ式」になります。ちなみに助手席は背もたれを前方に格納し、テーブルとして利用することも可能です。
「G」と「M」の違いは主に3列目シートの有無
主な標準装備品はマニュアルエアコンとクリーンエアフィルター、キーレスエントリーシステム、平均燃費や瞬間燃費などが表示可能なマルチインフォメーションディスプレイ、運転席&助手席SRSエアバッグ、可変間欠ワイパーなどとなります。
「G」と「M」の違いは、前述した3列目シートの有無のほか、「G」にはリアクーラーがオプションで設定されました。GとMの新車時の価格差は9万5000円です。
2012年6月には一部改良が行われ、2列目シート中央に3点式シートベルトが採用されました。それと同時にスライドドアの補強も行われています。
2014年9月には再び一部改良が実施され、全車に車両の横滑りを抑えて走行を安定させる「アクティブスタビリティーコントロール(ASC)」を標準装備。さらに2016年1月にはアクセサリーソケットを全車に採用しました。
走りうんぬんより「使い倒せる」のがこの車の魅力
三菱デリカD:3の運転フィールはどんな感じかと言いますと、NV200という商用車がベースですので、基本的にはまったりした感じというか「懐かしい感じ」というか、ひと昔以上前のミニバンでしばしば感じられたような感触です。
ただし高速道路などでも動力性能の不足を感じることはなく、風切り音が多少気になる程度で、基本的にはまずまず快適に巡航することが可能です。山坂道でも、もちろんスポーティにグイグイ走ることはできませんが、ごく普通ぐらいのペースでコーナリングをこなす分には何の問題もないニュアンスだといえるでしょう。
走りうんぬんよりも、このクルマの魅力は(もともと商用車だけに)5ナンバーサイズにもかかわらず荷室が広く、床も低いため荷物の積み下ろしもラクで、なおかつある程度しっかり走れて、そして頑丈である――という部分にあります。
そういった部分を重視してミニバンを探すのであれば、三菱デリカD:3は決して「人気モデル」ではありませんが、意外と悪くない選択肢にはなるかと思います。
参考:ミニバン/ワゴン車/ワンボックスの買取専門ページです
残念ながら中古車の流通量はきわめて少ない!
ただし前述のとおり2019年4月には販売終了となっていますので、もしもこれからデリカD:3を買うとしたら「中古車」を探すしかありません。
で、その中古車市場がどうなっているかと言いますと……残念ながら流通量は壊滅的なまでに少ない状況です。具体的には2019年7月上旬現在、カーセンサーnetでの掲載数は全国で3台、グーネットでも全国で6台でしかありません。
その相場は90万~130万円といったところですが、とにかく数が少ないため、この数字もあまり役には立ちません。なにしろ、買いたくてもモノがほとんどないのですから!
ちなみにちょっと古いデータですが、自販連発表の2017年1〜12月 車種別販売台数によれば、同年中に売れた三菱D:3の数はわずか「95台」だったようです。……そりゃ中古車もなかなか出てきませんよね。
ということで、「商用バンベースのちょっとユニークな三菱車を買いたい」と思ってもなかなか難しいようですので、その場合はおとなしく日産のNV200バネットを買うしかないみたいですね。NV200バネットであれば、まあまあの数が流通しています。
多少なりともご参考になったならば幸いです。それでまた次回!
[ライター/伊達軍曹]