GSのハイブリッド車が追加されたのは2006年で、ちょうど販売開始から10年少しとなります。その間にマイナーチェンジなどを重ね、今も進化し続けています。
レクサス初のハイブリッド
実はレクサスで初めてハイブリッドが追加されたのは、このGSなのです。レクサスのハイブリッドの歴史はGSによって先導し刻まれてきた、と言っても過言ではありません。そのハイブリッド仕様である450hは、レクサス初であると同時に世界初でもあるFR方式のハイブリッドカーなのです。FR方式になっているおかげで、大型のエンジンを積めたり、クラッチ蹴りで楽にドリフトやパワースライドができたりと周りのハイブリッド車とは一線を画すモデルとなったのです。
GSのハイブリッドの魅力
そもそもハイブリッドにはざっくりとどのような種類があって、GSのハイブリッドの特徴は何なのか見ていきましょう。
GSはハイパワー・ハイブリッドです。それ自体は他の車にもあるのですが、GSにはエンジンの作りに特徴があります。上記でも出てきたFR方式であること、そしてATの部分にモーターが追加されていることです。このモーターが追加されていることにより、エンジンとモーターのつなぎ具合に深みが出て、モーターとエンジンの切り替えにハマってしまうくらい、心地良い感覚で切り替えることができるのです。しかしこのモーターとエンジンの切り替えのスムーズさにより、モーター走行が静かすぎてエンジンかけた際はすぐに伝わります。元々ハイブリッドはモーター時からエンジン時との車音の差が大きく、人によってはエンジン音が非常に気になってしまう人もいます。レクサスは一般的なハイブリッドカーに比べて、その音の差を埋めようと努めているのが伺えます。しかし良くも悪くも450hのハイブリッドが良いが故に、エンジン音が大きく聞こえるかもしれません。しかし450hとしてはこれを生かす方向にシフトしており、実はジェネレーターにより故意的に音が聞こえるように、聞くように作られているようです。ハイブリッドは静けさを楽しみ、エンジンでは迫力のあるエンジン音を楽しむ、というようにお互いをはっきり区別するようにしました。ハイブリッドに乗りたいけど、エンジンならではの運転や音も楽しみたい…という方におすすめかもしれません。
参考:レクサスの買取専門ページです
とにかくパワフルで、坂道でも車重を感じずにスーイと登り切ってしまうほどの力があります。というのもトルクが強いので車重が約1800kgという巨体でも、スイスイと平地と変わらないような感覚で進んでくれるのです。機敏なステアリングも相まって、車重を感じさせません。またパワーモードにすると、エンジンが敏感になってくるので、グッと踏むと時速100kmほどはすぐに出てしまうので、飛んでいるかのような気分で楽しめますがくれぐれもスピード違反には気を付けましょう。逆に加速が良すぎて慣れるまではヒュンっと思ったより進んでしまった、なんてこともあるので、性能が良すぎるがゆえに初めは特に慎重な運転を心がけることをおすすめします。しかし安全面でもしっかりサポートされているので安心です。ブレーキサポートが標準装備されているので、停車している時についうっかり発進されるなんてことはありません。また、VersionLではドライバーモニターというユニークな機能があり、ドライバーの顔が正面を向いていなかったり、目を閉じているかどうかというのを認識し、異常を察知したら警報ブザーで警告してくれます。(もちろんこの機能でうっかり寝ても大丈夫なんて、気が緩んではいけませんが…)
今までの型と最新型、一長一短
GSのハイブリッドは、様々な進化と共に変化も遂げているので、先代より良くなっているところもあれば先代の方が良かった…という声もあります。先代と最新型との違いを紹介していきます。中古の購入も視野に入れている方の参考になればと思います。
まず良くなった部分ですが、パワーコントロールユニットが一新され、エネルギー回生制御の性能がさらにアップし、ハイブリッド専用トランスミッションが改良されたことにより、さらに低燃費となりました。3,500ccでありながら約15km/Lというのは、レクサスのみならず他のメーカー、世界中のメーカーと比較しても類を見ない数字です。どうしても高級車というとドイツの有名メーカーなどには及ばない、なんて言われてしまうこともあり、世界にはライバルもたくさんいるわけですが、ハイブリッドの技術は日本、レクサスが抜きんでいるのだと感嘆させられます。ちなみに先代は約9km/Lほどでした。しかし、それによりトルクやエンジンの出力やトルクが少し下がってしまったので、オーナーによってはパワーが落ちたと感じる人もいるようです。ここは燃費なんてどうでもいいからとことん走りを楽しみたい!のか、燃費も大事なのか選択したら良いかと思います。もちろん少し下がってしまったと言っても、一般的なハイブリッドカーに比べたらブンブン走ります。
内装では、トランクがかなり広くなりました。元々は後部座席の後ろ付近に大きな駆動バッテリーを積んでいたので、浅くあまり入らないトランクでした。しかし最新型ではその状態の中で工夫され、拡大されているので大分積載量は増えました。おおよそですがゴルフバックが3、4つほどは入るようです。しかしベビーカーはものによっては入らないようです。車自体は4人家族であれば大丈夫なサイズではありますが、小さいお子様がいらっしゃる場合ベビーカーが乗らない恐れがあるので、購入なさる前に乗るかどうか確認された方が良いかもしれません。ちなみに座った際に包み込んでくれるような高級感のあるシートは変わりません。またG-Linkに新しい機能が加わり、音声対話サービスや先読み情報案内サービスのエージェントや、アプリケーションソフトを追加されたことにより、目的地を調べたりするのにより便利になりました。しかしオーディオの音質を選ぶ設定がなくなったので、(最新型も付いていますが、一曲一曲で設定しなくてはならない状態です。)オーディオも楽しんでいたオーナーにはそこがちょっとした不満点のようです。
また先代より揺れが大きくなったと感じる声は多いです。もちろん街中で走る分には気になりませんが、少し山道や悪路の際に、特に横揺れが大きくなったようです。しかしその一方で、先代には内装でミシミシというような音が少ししていましたが、新型ではそのような音がなくなったようです。車の重さがさらに重くなったこともあり、さらにどっしりと頑丈になったのかもしれません。
お互い良い部分悪い部分を合わせもっています。特に音などはエンジン音を聞きたい!という方と、せっかくレクサスなのだから静かなのが良い!という好みにも分かれると思います。故障は基本的に少ないので、中古でも状態が良いものを購入できれば、長く使うことができるでしょう。大事なのはあなたの好みなので、条件的に先代が好みであれば是非中古車市場で探してみてください。
見ただけでは侮れない魅力を秘めている
GSのハイブリッドは、レクサスのハイブリッドを先導してきたので、レクサスの中でも特別な存在です。
かっこいいエクステリアではありますが、強烈な個性やオーラがあるのかと言われると微妙な部分ではあるのが正直なところではあります。ぱっと見ではスマートなかっこいいセダン、という感じですが、見た目以上の力強い走りを見せてくれます。見ただけでは侮れない魅力を秘めているのが、GSのハイブリッドだと思います。とにかく走りに詳しい方や、走りにこだわっている方に是非乗って欲しいモデルです。
[ライター/A. Oku]