コラム

北米市場で圧倒的な人気を誇るトヨタ・カムリ。世界戦略車の実力と魅力、そしておすすめグレードをご紹介!

読者のみなさんは、トヨタのセダン・ラインナップの中で、どのクルマに一番「国際色」を感じますか?ここで迷わず今回の主役、カムリと答えた方はなかなか鋭いですね。世界販売において、今やRAV4やヤリスに次ぐ販売台数を記録し、プリウスの約4倍を稼ぐという、トヨタの家計を支えるクルマのひとつとなっています。
しかし、日本での評価と販売実績は今ひとつ、と言えるかもしれません。現行型ではさらに大型化し、今やクラウンやマークX以上の室内空間を備えたセダンとなったカムリ。今までのトヨタ車とは異なる、独特の個性を持つこのクルマの魅力にじっくりと迫っていきたいと思います。

トヨタの重要な屋台骨の一つ、カムリ


カムリの名前が最初に登場したのは1980年のこと。セリカの派生モデルとして「セリカ・カムリ」と名乗ったのが始まりでした。1982年のモデルチェンジ時には早くもセリカの名前が外れ、カムリは単一車種として歩み始めます。
参考:セダンの買取専門ページです
1982年登場のカムリでは、フロントエンジン・リアドライブの先代「セリカ・カムリ」とは異なり、フロントエンジン・フロントドライブを採用。それ以降、すべてのカムリは前輪駆動となりました。FFならではの室内空間の広さは、その後もカムリの大きな特徴のひとつとして受け継がれています。
現行型カムリが登場したのは2017年。現行型カムリは、トヨタの新世代車両開発システム「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」をエンジン・車体ともに全面的に採用した最初のクルマとなりました。「TNGA」自体は2015年登場のプリウスを皮切りに、ダイハツやレクサス各車に採用されてはいたのですが、いわゆる「フルTNGA」となったのはカムリが初。今後も順次「フルTNGA」採用車は増えていくことでしょう。
「TNGA」の推し進める開発キーワードの一つに「低重心化」がありますが、現行型カムリはその「低重心化」が見た目にも大きく影響を与えています。カムリのボディサイズは全長4,885mm(WSグレードのみ4,910mm)x全幅1,840mmx全高1,445mmとなっていて、先代モデルに比べると全長は+35mm、全幅は+15mmと大きくなる一方、全高は25mm低くなっています。
低められた全高と、「低重心化」が進められた内部構造、そして先代よりもアグレッシブでスポーティなエクステリアデザインは、カムリに「低く構えた、いかにも地を這うように走りそうな」雰囲気を纏わせることに成功しています。クラウンよりも幅広い全幅と相まって、日本車離れしたプロポーションを獲得していると言って良いでしょう。

パワートレインはシンプルに1種類のみ


日本で販売されているエンジンの組み合わせは、シンプルにハイブリッド1種類のみとなっています。エンジンは新開発の「A25A-FXS型」という、全く新しい系統の2,487cc直列4気筒直噴DOHCを搭載。エンジン単体の出力は178PSですが、120PSを発生するモーターを組み合わせて、システム全体の最高出力は211PSとなっています。組み合わせられるトランスミッションも、電気式無段変速機1種類のみ。また駆動形式も、四輪駆動モデルは設定されず、FFの二輪駆動のみのラインナップとなっています。
最新型のハイブリッドシステムを搭載しているため、全長4.9mの大柄なセダンにしては、非常に優秀な燃費性能を誇ります。もっともベーシックなグレード「X」で33.4km/L、その他のグレードは共通して28.4km/Lとなっており、年間を通して多くの距離を走るドライバーにとっては大きなメリットとなるでしょう。
カムリの室内空間の広さは、先代よりも50mm拡大された、2,825mmという長大なホイールベースによるもの。FRとは異なり、ドライブシャフトのないFFのメリットを存分に活かした設計となっています。
さらに、先代ではトランク内に存在したハイブリッドシステム用バッテリーを床下に配置することで、低重心化とトランク容量拡大を両立することに成功。先代では440リッターだったトランク容量は、現行型カムリではなんと525リッターにまで拡大されました。ゴルフバッグ4個を積み込み方の工夫なしに、楽々と飲み込みます。
また、バッテリーが存在しないことで、リアシートを前に倒して長尺ものを積み込むことができる「全面トランクスルー機構」が久々に復活。リアシートは6:4で分割して倒すことが可能です。もちろん使用時には乗車人数に制限が付きますが、小型のステーションワゴンにも負けないラゲッジスペースを確保している点は大きな利点ですね。

ズバリ、おすすめグレードは?


カムリのグレードは大きく分けて3種類あります。ベーシックな「X」、中間グレードの「G」、現行型カムリのデビュー後、1年経ってから追加された最上級グレード「WS」です。この内、「G」と「WS」には本革シートを装備する「レザーパッケージ」が設定されています。
ここで、カムリのおすすめグレードを発表します。ズバリ「WS」です!
「WS」は「ワールドワイド・スポーティ」の略で、カムリの最上級グレードあると共に、スポーツグレードとしての役割を担っています。正直なところ、エンジンは共通なのでスポーツ色の薄さが気になるところではありますが、エスクテリアは専用フロントマスクに専用サイドマッドガード、専用リアバンパー、専用リアスポイラーなどを採用し迫力満点。またインテリアでも、合成皮革とファブリックを組み合わせた専用シートが採用されています。「どうしても本革でないと嫌」という方以外は、このシートでも十分満足いくフィーリングが得られるでしょう。
「WS」の専用装備で忘れてはならないのが、パドルシフトの存在です。高速道路での移動や、山間部での移動に威力を発揮することでしょう。また、サスペンションチューニングも「WS」専用に改めて見直され、よりフラットで応答性の高いハンドリングを実現。それでいて、元々の乗り心地の良さも失われておらず、この足回りを手に入れるというだけでも、「WS」を手に入れる価値はあるかもしれません。ぜひ一度、試乗してみることをおすすめします。

二つのキーワード、「TNGA」と「Toyota Safety Sense」


近年のトヨタにおけるキーワードのひとつが、「TNGA」です。「TNGA」を一言で言い表すのは難しいのですが、簡単に言えば「トヨタが全社一丸となって進めている、企画・開発・調達・生産準備・生産全てのプロセスに関わる大幅な改革」ということになります。より具体的に言うと、「基本性能を突き詰めた新プラットフォームを世界各地で共用化」「低重心&踏ん張り感あるスタイリングで、エモーショナルなデザインとハンドリングを両立」「複数車種の同時企画・開発を行い、車種間のコンポーネントの共用化率を高めて原価低減をする」などが挙げられ、今後さらに利用者目線に立つクルマを作るための取り組みとされています。
もうひとつのキーワードが、運転支援装備である「Toyota Safety Sense」です。現行型カムリにももちろん採用されていて、名称が変更されるまでは「Toyota Safety Sense P」と呼ばれていました。具体的には、ミリ波レーダーと単眼カメラを検知センサーとして、「プリクラッシュ・セーフティ」「ステアリング制御付き車線逸脱警報」「オートマチックハイビーム」「全車速追従機能付きレーダークルーズコントロール」などの多くの機能を備えています。最新世代のセダンらしく、安全性能にも抜かりはありません。

カムリは自社のセダンをも駆逐するか?


アメリカでは、乗用車部門で16年連続販売台数トップの圧倒的な販売実績を誇るカムリ。アメリカで最も人気のあるモータースポーツの一つ「NASCAR」にも参戦し、2016年から2017年にかけてはマニュファクチャラーズチャンピオンを連覇するなど、北米での人気を盤石のものとしています。
それに比べて、日本での販売実績はあまり奮いません。2017年、現行型カムリの発表時は好調だったものの、1年後には早くも低迷すると事態になっています。とは言え、マークXが半年かけて売る台数をカムリが1ヶ月間で売り上げている(月平均1,500台前後)のは事実なので、うわさされているトヨタの車種削減の際に生き残るのは、このクラスにおいてはFRのマークXではなくFFのカムリとなるかもしれません。
シャシーの素性の良さは指折りのトヨタ・カムリ。TRDやモデリスタのエアロパーツが多数用意されていますが、エクステリアだけでなく、車体のポテンシャルそのものを底上げするようなモデルもしくはグレードを今後期待したいところですね。それではまた、次回の記事でお会いしましょう!
[ライター/守屋健]

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ユーズトカーラボ 編集部
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