過日、筆者の脳はどこかからやってきたデンパを受信した。
デンパいわく「長距離運転しても疲れない車」を探しています。
フランス車はシートの出来が良いため疲れにくい?
噂によるとフランス車はシートの出来が良いため疲れにくいらしいですが、それは本当でしょうか?」と。
「ある意味本当です」と、筆者はデンパに対して独り言でブツブツと返答した。デンパに対して大マジメに返答するのも我ながらどうかと思うが、まぁ行きがかり上しかたない。で、続けて答えた。
「しかしそうとばかりとも言えないのが、“疲れない車選び”の実相です」
説明しよう。たしかにフランス車のシートというのは基本的にかなり良くできているが、長距離を車で移動する際の「疲れにくさ」というのはシートだけで決まるものではない。
極端な話、世界最高のシートを備えていたとしても、排気量660ccの軽自動車で東京~大阪間を往復するのは地獄である。
結局のところ疲れにくさというのは、シートうんぬんではなく「どれだけ運転が楽ちんか?」という総合的なアレで決まるのだ。
では「運転が楽ちん」というのは、具体的にはどういうことか?
運転が楽ちんと感じるポイント
一つのポイントは「ある程度速い」ということだ。高速道路を馬鹿みたいに飛ばす人もいない思うが、しかし車というのはある程度速くないと(というか、その気になれば速いスピードをすみやかに出せる車じゃないと)、運転していてかなり疲れるものだ。
高速道路の合流部などでギュッと加速しようとしても、へろへろへろ……としか加速しない車はストレスの源であり、また危険でもある。車やある程度速いほうが快適で安全なのだ。
そして第二のポイントは「真っ直ぐ走るのがラク」ということだ。「真っ直ぐ走れるなんて当たり前じゃん?」という人もいるかもしれないが、わたしから言わせればド素人である。世の中には真っ直ぐ走らないというか、真っ直ぐ走るのがあまり得意ではない車も結構あるのだ。
たとえばかなりスポーティな味つけがされている車は、ステアリングにちょっと触れただけでビュッと向きを変える。それはスポーツ走行をするときには好ましい資質となるわけだが、東京から大阪とかに行こうとする際は正直たまったものではない。
ちょっと気を抜くと右に50cm、かなり気を抜くと左に1m寄る……というような敏感すぎる車では、東京料金所から100kmも走ったあたり(御殿場ぐらい)ですでに疲れてしまう。
長距離を疲れずに運転するには、ステアリングの中立付近はある程度(あえて)鈍感で、しかしステアリングを切っていけばフツーに敏感に反応する……というのが最高なのだ。
以上2つのポイント、すなわち「ある程度速くて」「真っ直ぐ走るのがラク」という条件を満たす車は何になるだろうか?
長距離、長時間運転しても疲れない車の答え
さまざまな答えが考えられるが、筆者が思う正解は「メルセデス・ベンツ」だ。
けっこう速く(そして前の人が進路を譲ってくれたりもするし)、そして真っ直ぐ走るのは伝統的に大の得意。 デカいSクラスやEクラスであれば特に最高に疲れにくいが、やや小ぶりやCクラスであっても全然余裕である。
「ベンツに替えてから高速道路の運転がラクになったわ~」という奥さまが多いが、具体的にはこういった2つの理由により、メルセデス・ベンツに乗ると「高速がラク」と感じられるのだ。
とはいえ、昔のメルセデスは「真っ直ぐ走るのが大の得意(ステアリングの中立付近があえてダルにセッティングされている)」という車だったが、最近のそれは実はBMWやアウディなど同クラスのドイツ車と比べて大差はない。
メルセデスを含むすべてのドイツ車が比較的スポーティな(敏感な)ハンドリング特製に変わってきたからだ。とはいえ、今でも微妙にメルセデスのほうが真っ直ぐ走るのはラクであると、筆者は確信している。微妙にだが。
ということで、冒頭のデンパへの解答はメルセデス・ベンツをお選びになるのがよろしいでしょう。
最新のデカいやつがいちばんですが、なかなかそうもいかないでしょうから、1世代前の中古Cクラスで十分です。ボディタイプはセダンでもステーションワゴンでもどっちでも構いません。
わたしなら、先代のCクラスワゴンを買うかな?「それではごきげんよう」ということになる。
そして買ったCクラスワゴンに、フランス車のシートを移植するだろう。
(…いや、実際には面倒くさいからやらない。)
以上である。敬礼。