日刊カーセンサーでお馴染みの伊達軍曹さんにBMWの中古車購入のコツについて寄稿いただきました。
伊達軍曹さんは自身でもBMW318isクーペと320i、そして厳密にいえばBMWではないがアルピナB3Sにのっていた経験があるそうです。
はじめてのBMWの中古車購入講座
羨望と嫉妬、よきもののシンボルの1つBMW
BMW……素晴らしいクルマだ。何が素晴らしいって、とにかく「欠点」というものがないのである。
強いて言えば「まるで欠点がなく、皆んなの人気者であるところがなんかイヤミったらしい」と思われがちな点が、唯一の欠点だろうか。
まずイメージが良い。
もしもあなたが軽自動車が大好きで、なおかつ「日本におけるさまざまな事情を真摯に検討すると、実は軽自動車こそがもっとも合理的である」という緻密な思考を経て あえて軽自動車を買ったとしても、
周囲からは「あぁ、軽自動車しか買えなかった人なんですね(かわいそうに……)」とシンプルに思われてしまうリスクがある。
しかし、軽ではなく「クルマ? あ、ビーエムです」と答えれば、それを聞いた100人中70人は「ステキ!」「金持ちだな……」「正直うらやましい」「いいクルマ乗ってるなぁ」「抱いて!」と思うことだろう。
残りの30人のうち20人は「イヤミなクルマ乗ってやがるぜ。ビーエムなんて全然大したことないよ……」と否定的な感情を持つが、それは単なる嫉妬の裏返しである。で、残り10人はBMWとトヨタの区別もあまりついてない「クルマに関してほとんど知識がない人」なので、あまり気にしなくて良い。
と、かようにBMWというブランドはイメージが良い。富と知性、健康、意欲、冒険心……等々といった良きもののシンボルの一つなのである。
そしてイメージだけでなく、実際乗ってみれば「走り」が非常によろしい。
スポーティーな車だがスポーツカーではないBMWの良さとは?
BMWというのは非常にスポーティなクルマだが、決して「スポーツカー」ではない。
しかし、そこが逆に良いのだ。
超高速域での急激なレーンチェンジも鼻歌まじりでこなすことができる強じんな足回りを有しているが、乗り味にゴツゴツとしたところは一つもない。あくまでも甘美な乗車フィールを保ちながら、下手なスポーツカー顔負けの走りを堪能するこができるのである。
そんなクルマは、あるようでなかなかないものだ。
日本車ではスバル車全般や最近のマツダ車が比較的それに近いが、「上質でありながらスポーティ」という感覚については、やはりBMWのほうが一枚か二枚以上は上手(うわて)である。
そして当然、BMWはエンジンも非常に素晴らしい。もともと「Bayerische Motoren Werke AG(バイエルン発動機株式会社)」という社名の会社だけあって、そのエンジンがもたらすは、スペシャルな「Mモデル」ではなくても超絶痛快にしてスゥイートだ。とにかく一度でいいから、いちばん安価な4気筒のモデルで構わないから、BMWのエンジンフィールを体感してみてほしい。そうすれば、筆者が言っていることについて「なるほど!」とおわかりいただけるだろう。
ステキなBMWは新車で買うと高価なクルマ
さて、そんなBMWはすべてがステキなだけに、新車は決して安くはない。ていうか普通に考えて高価なクルマである。まぁ高性能かつ高品質で、さらにブランドイメージも良好なのだからして、それは当然の話だが。具体的には、いちばん小さい1シリーズでも新車価格は276万8519円~524万741円であり、売れ筋の3シリーズとなると395万3704円~598万1481円だ。人にもよるだろうが、気軽に手が出せる範囲の金額とは言いがたいだろう。
中古車でBMWを買うとなんと70万円程度から狙えるクルマ
しかし「中古車」であれば、そのプライスは一気に現実的なものに変わってくる。
具体的には、前述の現行3シリーズは200万円台半ばから狙えるようになり、一つ前のモデル(いわゆる先代)でも構わなければ、なんと70万円程度から狙えてしまうのである。
中古の輸入車ってすぐに壊れそう?
でも「中古の輸入車ってすぐに壊れそうで怖い」って?
その気持ちはわからなくもないし、場合によってはそういうこともなくはないだろう。
しかし、BMW318isクーペと320i、そして厳密にいえばBMWではないがアルピナB3Sというクルマの、それぞれの中古車に乗っていた経験がある筆者から言わせていただくと、「買う時にちゃんと選んで、購入後も年に1回ぐらいのペースで専門工場に点検を依頼すれば、恐れることは何もない」というのが真実だ。
ちゃんと選び、そして定期的な点検を受けている中古BMWはそもそもそんなに簡単には壊れない。もちろん機械モノゆえ使っていれば壊れることもあるが、割安なOEM部品を使った修理ノウハウも確立されているため、その維持費は「国産車に毛が生えたような程度」と思ってまず間違いない。
つまり、「中古のBMW」というのは本当にオススメしたい選択肢なのだ。
はじめてのBMWとしてもっともオススメなのは3シリーズ
市場にはさまざまなタイプのBMWが流通しているが、「はじめてのBMW」として筆者がオススメしたいのは「3シリーズ」だ。ボディタイプは好みに応じて王道のセダンでもいいし、便利なツーリング(ステーションワゴン)でもいいし、もしくはしゃれたカブリオレでも構わない。そのあたりは何でもいいが、とにかく最初は3シリーズだ。BMWの美点のすべては、年代を問わず3シリーズの中にすべて詰まっている。「上質でありながらスポーティ」「最高のエンジンフィール」「周囲からリスペクトされるブランド性」など、とにかくすべてだ。まずはそこを体感してほしい。
小ぶりなクルマをお探しの方はBMW 1シリーズがおすすめ
しかし駐車スペースやその他の問題で「どうしても小ぶりなサイズのクルマじゃないとダメなんです」という人もいるだろう。そんな場合は迷わず「1シリーズ」だ。3シリーズと比べてしまうとやや薄味にはなるが、1シリーズの小さなボディの中にも、BMWの良きポイントはおおむねすべて入っている。できれば初代1シリーズよりも現行1シリーズのほうを選びたいが、先代も決して悪くはない。
ラグジュアリー×長距離高速移動であれば、BMW 5シリーズ
ラグジュアリーな世界観を好み、なおかつ長距離高速移動が多いというライフスタイルを送っている人であれば、5シリーズないしは5シリーズツーリングがいいだろう。その上の7シリーズもステキなクルマではあるが、「ラグジュアリーな世界観」と「長距離高速移動における快感」は5シリーズでも十分以上に味わうこちが可能だ。どうしても7シリーズが欲しいなら止めないが、せっかくBMWに乗るなら7シリーズよりも軽快感が強い5シリーズのほうが、より「らしさ」は味わえるだろう。
その他、「強烈なスポーツ性能こそを味わいたい!」というのであれば、快適性は若干犠牲になるが「M3」が絶対のオススメであり、「アウトドアライフを含むすべての要素をバランス良く取り込みたい」と思うのであれば、SUVの「X5」または「X3」が最高の相棒になるだろう。
とにかくどの中古BMWを選んでも、マトモな個体を選び、そして定期的な点検を怠らない限り、まるで欠点の見当たらない「最高のクルマ生活」が送れることは間違いない。ぜひ一度、あなたの人生にBMWを取り入れてみてほしい。「目から鱗が落ちるとはこのことか!」と、必ずや思うことだろう。