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スバリストが夢中になる「スバル 水平対向エンジン」とは!?

スバルの熱狂的なファンは「スバリスト」と呼ばれています。スバリストがスバルを支持する理由の一つに国内メーカー唯一の「水平対向エンジン」があります。
この記事ではスバルの水平対向エンジンについて詳しく紹介します。

スバル水平対向エンジンの特徴

ガソリンエンジンは「シリンダー」という筒の中でガソリンと空気を混合・爆発させ、その衝撃を受けたピストンが「クランクシャフト」という軸を回転させることで動力を取り出します。このシリンダーとクランクシャフトの配置によって「V型」「直列」「並列」など様々なエンジン形式が存在し、その中の一つが今回取り上げる「水平対向」エンジンです。
シリンダーを一直線に並べた最も単純な形式が「直列エンジン」。軽自動車や小型車の場合、ほとんどの車種がこの形式のエンジンを採用しています。大型車に多い「V型エンジン」はクランクシャフトを挟んでV字型にシリンダーが配置され、直列エンジンに比べ全長を短縮できる利点があります。他にもV型を二つ並べたような「W型」、二輪車に多い「並列」などもありますが、乗用車のエンジンの99%は「直列」または「V型」と言っても過言では無いでしょう。

水平対向エンジンはシリンダーが文字通り「水平」に「対向」しているタイプのエンジンです。中央のクランクシャフトを挟んで左右対称にシリンダーを配置するという点はV型と同じで、特に「V」の角度が完全に開ききった180度V型エンジンとはほとんど同じ外見になります。厳密にはピストンの動き方が異なりますが、この180度V型エンジンも水平対向と呼ばれる場合があるようです。
水平対向エンジンは「ボクサー」と呼ばれることもあります。これは向かい合ったピストンの「互いに打ち消し合うような動き」をボクサーのパンチの応酬になぞらえたものです。この点で、V型エンジンの向かい合うピストンは逆に互いに避け合うように動くため、180度のV型エンジンは本来のボクサーではありません。
現在、市販車に自社の水平対向エンジンを搭載する自動車メーカーはスバルとポルシェの二社のみです。例外として、トヨタはスバルとの共同開発車種「86」にスバル製水平対向エンジンを搭載しています。過去には1938年に登場したフォルクスワーゲン「ビートル」が搭載していたものも水平対向エンジンです。二輪車ではBMWの水平対向二気筒エンジンが有名で、またホンダも「GOLD WING」に6気筒(!)の水平対向エンジンを搭載しています。

スバルは現在、自社で製造する車種全てに水平対向エンジンを搭載しています。既に販売終了となった「EJ20」型は、1990年代から2010年代にかけて幅広い車種に採用され、スバル車の代名詞とも言える存在として活躍しました。特に1990年代後半のWRC(世界ラリー選手権)では3連覇を達成し「SUBARU」の名を世界中に知らしめます。当時はエンジンからの排気干渉が生む「ドロドロ」とした独特のエンジン音も特徴的でした。販売終了した現在でも世界中に多くのファンが存在する名エンジンです。
スバルの現行ラインナップには「FA系」「FB系」「CB系」という三種類の水平対向エンジンが用意されています。いずれも四気筒で、スポーツ系車種に搭載されるFA型、インプレッサ中心のFB型、新型レヴォーグから採用された新世代ターボのCB型に分かれます。

水平対向エンジンのメリット

水平対向エンジンの構造的なメリットには「左右対称であること」と「全長・全高がコンパクト」「振動バランスの良さ」という点が挙げられます。クランクシャフトを中心に左右対称なエンジンをボンネットに縦置きする配置は車体左右の重量バランスを崩すことがなく、走行性能を高める上では有利になります。スバルも「左右対称・低重心」を自社のエンジン・駆動系のメリットだと長年アピールしてきました。これはエンジン単体のメリットを生かした駆動系の設計になっていることも重要な点です。
全長の短さは特に多気筒エンジンの場合に有利になるため、この利点を生かしているのはスバルよりもポルシェの方かもしれません。6気筒エンジンを後軸上に縦置き搭載するRRマウントは、全長を抑えられるエンジンならではのものでしょう。スバルの場合はエンジンの全高を抑えられることから「低重心」を売りにしています。実際の市販車では排気管や駆動系、オイル関係の取り回しの都合もあって思ったほど搭載位置を下げられていませんが、重量物であるシリンダーヘッドの位置を下げられることは確かに低重心化に寄与するはずです。またエンジン全高が低いことから、正面衝突時にエンジンが室内に侵入しにくいこともメリットとされています。
向かい合ったピストン同士が振動を打ち消し合う動きから振動特性が良く、直列やV型エンジンで振動を抑えるために用いるバランサーシャフトも不要です。複雑な構造や余計な重量物がないことによる「素性の良さ」も水平対向エンジンの特徴と言われています。

デメリット

一方、水平対向エンジンには少なからずデメリットも存在します。中でも最大のデメリットは「採用メーカーの少なさ」にあると言えます。乗用車向けには世界中でスバルとポルシェしか作っていないエンジンなので、自然とほぼ全ての部品が専用設計になります。エンジンだけでなくミッションや補器類、制御系も全てが専用品です。設計やテストには時間がかかり、開発コストは増大します。
例えば、多くのスバル車が用いる「リニアトロニック」。高出力対応のチェーン式CVT、世界中でスバルしか使っていないミッションです。フィーリングや燃費対策としても実績のある多段ATを利用すればいいのに、という声も多いのですが、「フロント縦置き水平対向エンジン搭載四輪駆動」用の多段ATは世界中でスバルしか使いません。汎用品をポン付け、という訳には行かない訳です。そのために「世界で初めて電子制御CVTを量産展開したメーカー」でもあるスバルが作り上げたのがリニアトロニックです。BRZを除く全車種に搭載し年々改良を続けてきましたが、既に登場から10年以上が経過。次の選択が気になる時期になっています。
燃費の面でも独自性が制約になっています。ハイブリッド技術はエンジンとモーターを組み合わせる制御が重要なポイントになりますが、エンジン・ミッション共に独特なスバル車は他メーカーと同じ技術をそのまま使うことができません。高コストな独自開発を行ったものの成果は今ひとつで、トヨタとの技術提携による解決を模索しています。
エンジン構造上のデメリットとしては「横に広い」という点が挙げられます。シリンダーヘッドが左右両端に位置する構造のため横幅が広く、燃費対策上有効とされる「ロングストローク化」を行うと車両幅まで広がってしまいます。また、シリンダーが横倒しに設置されるため、オイル管理が不十分だと潤滑不足による偏摩耗などの問題が発生しやすくなります。

他エンジンとの比較

水平対向エンジンを他のエンジンと比べてみるとどうでしょうか。直列、V型、ロータリーとの比較を見てみましょう。
直列エンジンは軽自動車からスポーツカーまで幅広く採用されている、最も一般的なエンジン形式です。シリンダーが一直線上に並び、その下部にクランクシャフトが設置されます。重量物であるシリンダーヘッドが最上部に来るため、重心は高めです。また多気筒の場合は全長がとても長くなるため、6気筒程度が限界です。汎用性が最も高く、コストも下げやすいエンジン形式と言えるため、ハイブリッド車の発電用エンジンとしてもよく使われます。BMWの直列6気筒エンジンは「シルキー6」と呼ばれ、性能や評価が高いことで有名です。
V型エンジンは主に6気筒以上で採用されます。フェラーリやランボルギーニのV型12気筒に代表されるような多気筒高性能エンジンはほとんどがV型エンジンです。水平対向と比べても更に全長をコンパクトにできるため、多気筒エンジンには最適な形式を言えます。デメリットは重量増や振動面が挙げられます。
ロータリーエンジンは水平対向以上の希少種であり、現在新車を販売しているメーカーはありません。ロータリーと言えばマツダが有名ですが、実は旧ソ連/ロシアのメーカーもロータリー搭載車を販売していたそうです。コンパクトさや排気量に対する出力、低振動性など構造的には非常にメリットが多く、「未来のエンジン」と呼ばれることもあります。一方で熱効率の悪さやそれに伴う燃費の悪さ、整備性や耐久性の問題といったデメリットの解決が難しく、現在新車で買うことができない状況です。流麗なスタイリングと相まって「ロータリーロケット」とも呼ばれるRX-7、ルマン24時間で優勝した787Bなど、1990年代に大きく活躍したエンジンです。

スバル水平対向エンジン搭載のおすすめ車種

現在新車購入できるスバルの水平対向車種はレガシィアウトバックやインプレッサなど7車種で、間もなく8車種目として新型WRXが登場する予定です。中古市場には過去の様々な車種が存在し、中にはプレミア状態で高騰しているものもあります。
スバルの水平対向として象徴的なのはやはり「EJ20」でしょう。これは1989年に初代レガシィに搭載され、そこから2020年のWRX STIファイナルエディションまで32年間にわたってスバルを牽引してきた名機です。特に初代インプレッサ(GC8型)はWRC三連覇を達成した伝説的マシンとして人気です。実用を考えると2003年に登場する4代目レガシィ以降のモデルが現実的ですが、ターボ車は全体的に高めです。ターボでも「FA20」型直噴ターボ搭載のBRG型レガシィなどは比較的お手頃ですので、EJ20にこだわらない方にはお勧めです。
現行モデルでは何と言っても新型BRZが気になるところですね。さらに新型WRX、登場時期は未定ですがそのSTIモデルも要注目です。EJ20の後継エンジンとなるFA24型がどのように仕上げられてくるのか、楽しみですね。

まとめ

スバルの水平対向エンジンについて見てきましたが、いかがだったでしょうか。バランスと素性に優れる水平対向エンジンですが、近年の環境負荷対応への対応には苦慮している部分もあるようです。スポーティな水平対向ガソリンエンジンは、もう残り数年で販売終了となる可能性もあるでしょう。新車で買いたいという方はタイミングを逃さずに。また、現在スバルに乗っている方も、乗り換えのタイミングはよく考えた方が良いでしょう。EJ20ターボ搭載車の中古市場はかなり高騰気味ですので、お持ちの方は一度査定してみることをお勧めします。過走行でも価格が付きやすい状況のようですから、ディーラーだけでなく買取専門店へもご相談されることをお勧めします。

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