それでは今週も「おすすめミニバンのおすすめグレード」について各種研究を進めてまいりましょう。今回のお題は2018年上半期のミニバン販売台数ランキング第2位で、直近の2018年10月単月で見ても6位に入っている人気モデル、トヨタ ヴォクシーです。
おすすめはハイブリッドではなくガソリン?
そのデビューは2014年1月といささか古いのですが、2017年7月にマイナーチェンジを行うことで商品力を増強させ、前述のとおり今なおかなりの勢いで売れ続けているのがトヨタ ヴォクシーという5ナンバーサイズのミニバンです。
そのグレード展開は多岐にわたるわけですが、まずは「ハイブリッドにするか? それともガソリンエンジンでいくか?」という根本的な部分から決定しなければなりません。
それぞれの車両価格は以下のとおりです。
【ハイブリッド】
●HYBRID X|301万4280円~
●HYBRID V|314万2800円~
●HYBRID ZS|326万9160円~
●HYBRID ZS“煌”|283万9320円~(特別仕様車)
【ガソリン】
●X|246万6720円~
●V|275万6160円~
●ZS|274万5360円~
●ZS“GR SPORT”|325万7280円~
特別仕様車である「HYBRID ZS“煌”」以外のハイブリッド版は軒並み300万円オーバーで、ちょっとお高いですね。
もちろんハイブリッドの23.8km/Lというカタログ燃費は魅力ですが(ガソリンは14.8~16.0km/L)、家族で使う5ナンバーサイズミニバンの根本的な魅力は「比較的お手頃な予算でもイケること」だと思いますので、当ラボとしてはとりあえず「ヴォクシーは車両価格がお手頃なガソリンエンジン車がおすすめ!」ということにさせていただきます。
駆動方式は2WDと4WDがありますが、雪国等にお住まいの方以外はお安い2WDのほうでぜんぜん十分かと存じます。
基本的には7人乗り仕様がGood
お次はグレード選び……といきたいところですが、ヴォクシーの場合はその前に「7人乗り仕様にするか? それとも8人乗り仕様か?」ということを決めなければなりません。
7人乗り仕様のほうは2列目シートが個別の「キャプテンシート」になっていて、それぞれを個別に前後左右へと移動させることができます。またキャプテンシートにはロングスライド機構も内蔵されていて、3列目シートを折り畳んでから後方にスライド移動させれば最大810mmの広々とした足元空間が現れます。さらには前席から3列目まで通り抜けられる「ウォークスルー」になっている点も7人乗り仕様の特徴です。
これに対して8人乗り仕様は、2列目シートに6:4分割式チップアップシートを採用。これと580mmものロングスライド量により、8人乗り仕様ではかなり広大なラゲッジスペースを作ることができます。ただし2列目はキャプテンシートではなくベンチシートであるため、座った際のホールド性は若干劣ります。しかし作りがシンプルな分、8人乗り仕様のほうが7人乗り仕様より3万円ほどお安いという美点はあります。
これらの条件をどう考えるべきかは、家族構成や使い方、あるいは美意識などによって変わってきますので、一概には言えません。ただ、シートアレンジの多彩さと2列目シートの座り心地、そして「最近の家族は人数少なめである」ということを考え合わせると、当ラボとしてのおすすめは「ほんの少々高いけど、やっぱり7人乗り仕様」ということになります。
途中報告というか、ここまでのおさらい
ここまでのおさらいです。
●ハイブリッドかガソリンか?
→ハイブリッドもいいですが、お手頃価格なガソリンをおすすめします。
●2WDか4WDか?
→一般的な地域にお住まいであればお安い2WDで十分です。
●7人乗り仕様か8人乗り仕様か?
→家族構成等により一概には言えませんが、7人乗り仕様が妥当でしょう。
それぞれのグレードはそもそもどんな感じなのか?
そしてこれを踏まえて、いよいよ最終的な「おすすめグレード選び」へと進みます。すなわち以下の4グレードのなかからどれを選べばシアワセになれるのか? という話です。
●X(2WD/7人乗り仕様)|249万6940円
●V(2WD/7人乗り仕様)|278万6400円
●ZS(2WD/7人乗り仕様)|277万5600円
●ZS“GR SPORT” (2WD/7人乗り仕様)|325万7280円
それぞれがどういうニュアンスのグレードかというと、以下のとおりです。
【X】
標準グレード。ただ、必要な装備はおおむね不足なく標準装備されている。
【V】
装備がより充実している上級グレード。
【ZS】
フルエアロ仕様。ただし装備はVよりやや劣る。
【ZS“GR SPORT”】
足回りにも手が加えられた、優れた走行性能が売りのグレード。
「ZS“GR SPORT”」と「X」はおすすめから除外
これらのなかから、やや特殊な立ち位置である「ZS“GR SPORT”」はまず最初におすすめグレードから除外いたします。もちろんこういったグレードがお好きな人はそれで良いと思いますが、あくまで「あまり一般的ではない」ということです。
参考:ミニバン/ワゴン車/ワンボックスの買取専門ページです
そしてお次に標準グレードの「X」も、残念ながらおすすめグレードからは漏れてしまいます。なぜならば、Xだけは予防安全パッケージの「Toyota Safety Sense」が標準装備になっておらず、5万4000円のメーカーオプションになってしまうからです。
それに加えてXは「アルミホイールではなく鉄ちんホイールである」「快適温熱シート(運転席・助手席)を選ぶことができない」「スマートエントリーシステム+プッシュスタートシステムもメーカーオプションになってしまう」など、ファミリー向けながら精悍なイメージもあるヴォクシーらしからぬ点も一部に散見されるため、積極的には選びにくいグレードなのです。それに、たぶんですがリセール面でも不利でしょうし。
装備充実の「V」か、それともフルエアロの「ZS」か?
となると、残るは「充実装備のV」と「フルエアロがイカしてるZS」の二択となります。
フロントマスクやエアロパーツの有無に関する部分は、これはもう「好みの問題」としか言いようがありません。筆者は落ち着いたイメージの顔つきとなるVのほうが好きですが、人によっては「いやいや、ワイルド系なZSの顔つきのほうが断然好きだよ!」という人もいるはずです。それゆえ、そこを論じてもあまり意味はないでしょう。
では「装備レベル」で決めるべきなのでしょうか? もしもそうするのであれば、軽く前述したとおりZSよりもVのほうが装備は若干充実しています。
しかしそれは「若干」でしかありません。
具体的には「快適温熱シート(運転席・助手席)」と「ナノイー」の有無が、快適装備における両者の違いです。「まぁ、有っても無くてもどっちでもいいかな?」と感じる人も多いかもしれない部分です。
「結論」はやや玉虫色とならざるを得ない?
となると、最終結論は以下のとおりとならざるを得ません。
「トヨタ ヴォクシーのおすすめグレードは、ガソリンエンジン+2WD+7人乗り仕様のVまたはZS! 落ち着いたデザインのVにするか、それともフルエアロのZSにするかはお好みで!」
……やや無責任で投げっぱなしの結論と思われるかもしれませんが、トヨタ ヴォクシーについてのさまざまな事実を誠実に検討していくと、どうしたって結論にしかならないのであります。
ヴォクシーご購入の少しでもご参考になったならば幸いです。ということでまた来週、こちらのコーナーでお会いしましょう!
[ライター/伊達軍曹]