それでは今週もさっそく「おすすめミニバンのおすすめグレード」に関する研究を進めてまいりましょう。今回のお題は2018年9月にマイナーチェンジを実施し、直近10月のミニバン販売台数ランキングでも2位に入っているトヨタの人気ミニバン「シエンタ」です。
直近のマイナーチェンジで2列シート版も登場
現行シエンタ自体は2015年7月登場のコンパクトな3列シートミニバンですが、今回のマイナーチェンジではフロントバンパーやグリル、ヘッドライト、リアコンビネーションライト、ホイールキャップなどに新デザインを採用するとともに、「ファンベース」という2列シート仕様を追加しました。
こちらファンベースは2列目シートのバックレストを倒せば最大荷室長2065mmのフラットな荷室が出現。そこには26インチのMTB 2台が搭載可能で、荷室左右にはユーティリティホールが9個ずつ用意されています。ディーラーオプションのフックやシステムバーと組み合わせることで、さまざまな使い方ができそうですね。
で、そのマイチェン後のシエンタのなかでは果たしてどれがベストグレードなのか? さまざまな角度から考えてみましょう。
シエンタのグレード展開と車両価格は?
マイナーチェンジにより2列シート仕様が加わったことで、本来であれば「3列でいくか、それとも2列か?」という部分を検討しなければならないのですが、ここは「MINI vanラボ」ですので、とりあえずは問答無用で「3列シートのなかから選ぶ」ということにします。とはいえ2列シートのファンベースも、ある種のご家族には大いにおすすめなのですが。
3列系シエンタのグレード展開と、それぞれの車両価格は以下のとおりです。
【ハイブリッド】
●G Cuero(7人乗り/2WD)|253万2600円~
●G(7人乗り/2WD)|238万320円
●X(7人乗り/2WD)|222万6960円
【ガソリン】
●G Cuero(7人乗り/2WD)|217万2960円~
●G Cuero(6人乗り/4WD)|231万4440円~
●G(7人乗り/2WD)|202万680円
●G(6人乗り/4WD)|216万2160円
●X(7人乗り/2WD)|181万6560円
●X(6人乗り/4WD)|195万8040円
ハイブリッドもガソリンも同様にG Cueroというのが最上級グレードで、Gが上級グレード、そしてXが標準グレードになります。そして見てのとおり基本的には7人乗りですが、ガソリンの4WD版のみ6人乗りとなります。
参考:ミニバン/ワゴン車/ワンボックスの買取専門ページです
おすすめはガソリンではなくハイブリッド
で、まずはじめに「ハイブリッドか、それともガソリンか?」ということを決めなければならないのですが、ここはやはり「おすすめはハイブリッド」ということになります。
ガソリンとハイブリッドの車両本体価格を比べると、確かにハイブリッドのほうが36万円ほど割高ではあります。で、両者のカタログ燃費(JC08モード)はハイブリッドの28.8km/Lに対してガソリンが20.2km/L(※2WDの場合)ですので、ガソリン代だけで約36万円の元を取るのはなかなか難しい部分もあるはずです。
しかし総合的な運転フィールと後のリセール価格までを考えると、ガソリン版は正直やや不利です。
非力というわけではありませんがガソリンエンジンのフィーリングはややがさつで、リセール的にも(ハイブリッドと比べれば)少々劣りますので、ここはひとつ気合を入れて、やや高くてもハイブリッドを選んでおくのが正解です。
標準グレード「X」はさすがに装備がやや貧弱
残るは3列シートのハイブリッド(2WD)のなかで最上級の「G Cuero」を選ぶか、それとも上級の「G」か標準の「X」か? という問題だけが残ります。
結論としては、最上級グレードではない「G」こそがおすすめであるというのが筆者の見解です。
まずは標準グレードの「X」は、222万6960円というまずまず割安なプライスこそ魅力ですが、予防安全システムであるToyota Safety Sense(プリクラッシュセーフティ/レーンデパーチャーアラート/オートマチックハイビーム)とインテリジェントクリアランスソナー(パーキングブレーキサポート)がメーカーオプションになってしまうのがかなり残念なポイントです。
またXだけはスマートエントリー&プッシュスタートシステムが付かないという点も、購入後はけっこう盛り下がるポイントかもしれません。そういった諸々を考えますと、安さに引かれてXを選ぶのは少々危険だとも言えます。
「G Cuero」と「G」の装備差は意外と小さい?
ならば最上級のG Cueroこそがやっぱりおすすめなのか? といえば、一概にそうとも言えません。というか、むしろ上級/中間の「G」で十分だという気持ちでいっぱいになってきます。
G CueroとGの価格差は約15万円ですが、装備内容は「ほとんど似たようなもの」とも言えます。もちろんいろいろ異なりはするのですが、具体的には以下の違いに過ぎません。
【G Cueroだけに付いている主なもの】
●インテリジェントクリアランスソナー(2万8080円相当)
●Bi-Beam LED[ハイ・ロービーム](オートレベリング機構+LEDクリアランスランプ)
●合成皮革×スエード調(ダブルステッチ付)のシート表皮
ほかにも細かな違いはいくつかあるのですが、主だったところは上記の3点ぐらいです。
イチオシは「ハイブリッドのG」という結論に
前述の3点に大きな価値を見いだすのであれば四の五の言わずに最上級グレードのG Cueroを買うのが正解でしょう。おそらくはリセール面でも少々有利なはずですし。
しかし、もしも上記3点について「ま、どちらでもいいかな?」ぐらいの思いしかないのなら、「G」でぜんぜん十分です。最上級グレードではありませんが、見方によってはG Cueroに「ほぼ匹敵する」装備はあらかた付いていると感じられることは間違いありません。
ということで、マイナーチェンジ後のトヨタ シエンタのおすすめグレードは「ハイブリッドのG」ということでMINI vanラボ的には決定いたしました。諸説あるとは思いますが、ご参考にしていただけましたら幸いです。
それではまた来週!
[ライター/伊達軍曹]